ごはんの時間、パッケージ裏の細かい文字を目で追いながら、袋を持つ手が止まる。「これ、うちの子にあげて大丈夫かな」と迷ったことはありませんか。
ネットには商品名を挙げて危ないと書く記事がたくさんあります。ただ、飼い主が売り場で確かめられるのは、袋に書かれた表示の中身のほうです。
買わない方がいいキャットフードとは、名称・原材料名・賞味期限・事業者の名称と住所・原産国という義務表示や、総合栄養食かどうかの記載が確認できないフードです。避けたいのは特定の商品ではなく、判断材料がそろっていない状態のほうと考えると迷いが減ります。
この記事では、ペットフード安全法とペットフード公正取引協議会の表示ルールをもとに、パッケージ裏だけで自分で判定できる基準を出典つきでお伝えします。
- 売り場で必ず見る5つの義務表示
- 原材料名・添加物・保証成分値の読み方
- 迷ったときに使える4ステップの判定フロー
買わない方がいいキャットフードとは|避けたいのは商品ではなく『情報が確認できない状態』

買わない方がいいキャットフードとは、義務表示や栄養区分など判断材料が確認できないフードです。
売り場で私たちが手に取って確かめられるのは、袋の裏に書かれた表示の中身だけ。だから名指しではなく、表示が読み取れるかどうかで候補を並べ替えます。
棚に戻す判断につながりやすい「状態」は、次の5つです。
義務表示の5項目が読み取れない
名称・原材料名・賞味期限・製造業者等の名称と住所・原産国名。この5つは法律で表示が義務づけられた項目です。
にじみや小分けで一部が読めないなら、揃った袋を選ぶほうが手元の材料は増えます。
目的区分 (総合栄養食かどうか) の記載が見当たらない
毎日の主食にするなら、総合栄養食という記載があるかどうかが目印になります。
おやつやその他の目的食は、主食を補う位置づけ。記載が見当たらないときは、栄養の裏づけを表示から確かめられない状態だと受け止めます。
原材料が分類名だけで個別名が分からない
「穀類」「肉類」のような分類名だけの表示でも、ルール上は認められた書き方です。ただし個別名で書かれた袋のほうが、手元で読み取れる情報は多くなります。
チキン、サーモンと素材名が並んでいれば、何が中心の材料かをその場で追えます。
添加物に用途名併記がない
添加物は、「何のための添加物か」と「物質名」が並んで書かれているかを見ます。
「酸化防止剤 (ミックストコフェロール)」のような形なら、役割も中身も分かります。用途名だけの表示は、そのぶん読み取れる情報が少なくなります。
事業者名・住所・問い合わせ先にたどり着けない
製造業者等の名称と住所も、義務表示に含まれる情報です。
ここが読めれば、疑問が出たときに聞く先が手元に残ります。電話番号や問い合わせフォームまで書かれていれば、確認の道はさらに広がるでしょう。
2010年12月から、販売される犬猫用ペットフードには「名称」「原材料名」「賞味期限」「製造業者等の名称及び住所」「原産国名」の5項目の表示が義務づけられています(環境省)。
この記事が判定に使う根拠
根拠にするのは、法律とペットフード公正取引協議会の表示ルールという公開情報だけです。
誰でも同じページを開いて確かめられるので、私たちの好みや印象が入り込みません。売り場でうちの子のフードを見比べるときも、同じものさしがそのまま使えます。
ただし表示から分かるのは、あくまで袋に書かれていることまで。食べ残しが続く、便がゆるい、皮膚をかゆがるといった様子があるときは、フード選びで解決しようとせず、かかりつけの獣医師に相談してください。
編集部お店では袋の裏を写真に撮っておくと、家に帰ってからゆっくり見比べられます。細かい文字は店頭で読み切らなくて大丈夫。
まずここを見る|ペットフード安全法が義務づける5つの表示チェック表


売り場で最初に見るのは、パッケージ裏の5項目です。名称・原材料名・賞味期限・製造業者等の名称および住所・原産国名の5つは、2010年12月から犬猫用ペットフードに表示が義務づけられています。
根拠になっているのがペットフード安全法 (正式には愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)。2008年6月11日に成立し、2009年6月1日から施行されました。
対象は犬と猫のフードです。うちの子が毎日食べるものは、この法律の枠のなかにあります。
義務表示5項目|見る場所と、書かれていないときの受け止め方
5項目はどれも袋の裏面か側面にまとまって印刷されています。順に指でなぞって確認できます。
| 見る項目 | どこに書いてあるか | 確認できないときの受け止め方 |
|---|---|---|
| 名称 | 表面の商品名の近く、または裏面の表示欄の先頭 | キャットフードとして売られているものか判断しづらくなります |
| 原材料名 | 裏面の表示欄。重量の多い順に並ぶ | 何が主原料かを表示から読み取れません |
| 賞味期限 | 袋の裏面下部や上部の印字部分 | いつまでの品質が保たれるかを確かめられません |
| 製造業者等の名称・住所 | 裏面の表示欄の末尾、問い合わせ先の並び | 疑問が出たときの確認先がなくなります |
| 原産国名 | 裏面の表示欄。製造業者名の前後 | どこで作られたかを表示から追えません |
この法律ができた経緯と、事業者に課されている義務
きっかけは2007年3月、米国でメラミンが混入したペットフードにより多数の犬猫が亡くなった出来事でした。同年6月には日本でも混入製品の輸入販売が判明しています。
そこで整えられたのが、作る人・輸入する人の顔が行政から見える仕組みです。
- 製造業者・輸入業者は、事業を始める前に農林水産大臣と環境大臣へ届け出る
- 届出の義務は2009年6月から。販売業者 (小売を除く) を含めて帳簿の備えつけも必要
- 有害な物質が含まれる場合、国は廃棄や回収などの措置を命じられる
小分け・量り売り・個人輸入は、確認できる材料が減る
買い方によっては、5項目がそろって手元に届かないことがあります。判断材料そのものが減る点に気をつけてください。
- 小分けや量り売りでは、元の袋の表示欄が手元に残らない
- 海外から個人で取り寄せた品は、日本語の表示欄がないことがある
この場合は元の袋の写真や表示ラベルを一緒にもらえるかを、買う前に確かめておきます。



小分けを頼むときは、元の袋の表示欄も見せてもらえるか一言たずねてみましょう。原材料の並びが分かるだけで、次の比較がぐっと楽になります。
原材料表示の読み方|『先頭3つを見る』が有効な理由とその限界


キャットフードの原材料名は、重量の割合が多い順に記載すると決められています。
だから袋の裏の先頭に並ぶ名前が、そのフードの中心を占める原材料の目安になります。
なぜ先頭3つを見る読み方が成り立つのか
並び順そのものが配合量の情報だからです。多い順というルールがある以上、先頭に肉や魚が来るフードは、その素材の比率が相対的に高いと読み替えられます。
穀類やでん粉が先頭に並ぶなら、そちらが量の中心。好き嫌いを言う前に、まず並び順を目で追ってみてください。
原材料の書き方は3方式ある
書き方は3通り認められていて、どの方式かで読み取れる情報量が変わります。
- 個別名表示 — 「チキン」「玄米」のように素材ごとに書く方式
- 分類ごとのまとめ表示 — 「穀類」「肉類」のようにグループでまとめる方式
- 分類名のみ表示 — 近年はほとんど見かけない方式
まとめ表示のパッケージから分かるのは、グループごとの並び順まで。個別名で書かれた商品のほうが、確認できる材料は多くなります。
水分量で順位の印象が変わる
並び順は水分を含んだままの重さで決まります。ここが先頭3つの読み方の弱いところ。
先頭に来ている原材料でも、水分の多い生肉は加熱後に量が減ります。乾燥させた後の重さで比べたら、印象と違う並びになることもあるでしょう。
だから先頭3つは、あくまで手がかりの1つ。主食にできる区分か、保証成分値がどうかと合わせて見て、はじめて判断材料が揃います。



売り場では、まず個別名で書かれているかをざっと見ます。読み取れる情報が多い袋を残していくと、候補は自然に絞れていきます。
『ミール』『肉副産物』『動物性油脂』は避けるべき?表示ルールから見た実際


これらの表記は、表示ルール上は認められた書き方で、それだけで中身の良し悪しは決まりません。
ただ、読み取れる情報が少ないのも事実。敬遠される理由と、制度の側の説明を続けます。
敬遠されやすい理由|由来の動物種や部位が読み取れない
「◯◯ミール」「肉副産物」「動物性油脂」と書かれた袋から分かるのは、動物由来の材料だというところまで。どの動物のどこを使ったかは表示の外にあります。
アレルギーで特定の動物性たんぱく質を避けたい愛猫だと、この差はそのまま困りごとになります。
アレルギーが心配な子のフード選びは、猫のアレルギー対応フードの選び方で、たんぱく源の見方から順にまとめています。
敬遠されているのは原材料そのものではなく、情報量の少なさのほうだと言えます。
表示ルール上の位置づけ|『分類ごとのまとめ表示』が認められている
まとめ表示を選ぶこと自体は、ルールで認められた書き方です。個別名表示、分類ごとのまとめ表示、分類名のみ表示の3方式が並んでいます。
原材料名を重量の割合が多い順に並べる決まりも、まとめ表示のフードに同じようにかかります。
売り場で取れる行動|個別名のフードと問い合わせ窓口
由来まで知りたいときは、個別名で書かれたフードのほうが手元で読み取れる情報が多くなります。
まとめ表示のフードでも、メーカーの問い合わせ窓口に動物種や部位を尋ねる方法があります。答えてもらえるかどうかも、そのメーカーの情報公開の姿勢を測る材料になるでしょう。
良い悪いで線を引くのではなく、読み取れる情報の多い順に候補を並べ替える。これが売り場で使える現実的なやり方です。



問い合わせフォームには「原材料の◯◯は何の動物由来ですか」と一行だけ書けば十分。返信の丁寧さも、そのまま判断材料になります。
BHA・BHT・エトキシキンは?成分規格で決まっている上限値を一次情報で確認する


これらの合成酸化防止剤には、ペットフード安全法の成分規格で使える量の上限が決められています。
酸化防止剤は、脂肪が空気で傷むのを防いで品質を保つために使われる添加物です。
不安視される理由
名前が化学物質らしく響くこと、そして毎日食べるごはんに入っている点が、飼い主さんの気がかりにつながります。
一方で、酸化した脂肪をそのまま食べさせないための役割も担っています。無くせば安心とも言い切れないところが、この話のむずかしさでしょう。
成分規格が示している実際の上限
上限は数値で公表されています。g/t は「フード1トンあたり何グラムまで」という意味です。
| 物質 | 上限 |
|---|---|
| エトキシキン (犬用として定められた値) | 75g/t |
| エトキシキン・BHT・BHA の合計 | 150g/t |
| 亜硝酸ナトリウム | 100g/t |
エトキシキン単体の75g/t として成分規格に定められているのは犬用の値です。合計150g/t の規格は犬猫用フードに共通します。
この範囲内で使われているなら、法令上は規格どおりの使い方だと分かります。
有害な物質を含むフードには、国が廃棄や回収などの措置を命じられる仕組みも用意されています。上限を超えた製品が売り場に並び続けることは、制度上は想定されていません。



数字を見て「多い」「少ない」と感じるより、上限が公表されている分野だと知っておくほうが、売り場で落ち着いて比べられます。
それでも気になるときの選び方
由来が書かれた酸化防止剤を選ぶという方法があります。パッケージ裏の表示だけで確認できます。
酸化防止剤は用途名と個別名をあわせて書くきまりです。たとえば「酸化防止剤 (ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)」という書き方になります。
- 「酸化防止剤」の後ろに、かっこ書きで物質名が続いているか
- ミックストコフェロールやローズマリー抽出物など、由来のわかる名前か
- BHA・BHT・エトキシキンなど、上限が定められた物質の名前が並んでいるか
好みで選び分けるのは自由です。どちらを選んでも、食べ残しや便の様子を見ながら続けられるかを最後の目安にしてください。
着色料・香料・保存料の表示|『用途名併記』が書かれているかを見る


添加物は、使われているかどうかよりも何のために入っているかが表示から読み取れるかで見ます。
ペットフードの表示ルールでは、甘味料・着色料・保存料・増粘安定剤・酸化防止剤・発色剤は用途名を添えて記載することになっています。
用途名併記とは、「何の役割の添加物か」と「具体的な物質名」を並べて書く書き方のこと。たとえば次のような形です。
着色料や香料が敬遠される理由
着色料が話題になるのは、色は猫ではなく人が見るための要素だという指摘があるためです。
猫が手がかりにしているのは、香りや口ざわりのほう。粒の色を見比べてごはんを選んでいるわけではありません。
一方で、色や香りをつける添加物は表示ルールの中で使われているものです。入っていることだけを取り出して善し悪しを決めるのは、材料が足りません。
そこで私たちは、是非を言い切るかわりに用途名と個別名がそろって書かれているかを確認しています。
用途名が書かれているパッケージは、確認材料が多い
用途名と個別名の両方が読み取れるパッケージは、飼い主が手元で確かめられる情報がそれだけ多い状態です。
- 甘味料・着色料・保存料・増粘安定剤・酸化防止剤・発色剤に用途名が添えられている
- 「酸化防止剤 (ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)」のように個別の物質名まで書かれている
- 物質名が読み取れれば、その添加物の役割は用途名の側でそのまま分かる
用途名だけで個別名が見当たらないときは、何が使われているかが表示の外に残ります。その場合はメーカーの窓口で個別名を確認でき、答えが返ってくるかどうかまでが判断の材料です。
『無添加』の表示だけでは決められない
「無添加」という言葉に、法律で決まった定義はありません。
何を使っていないのかは商品ごとに違い、着色料だけを指している場合もあります。中身は原材料名の側に書かれています。
気になったら、袋表面の売り文句ではなく裏面の原材料名まで目を移してみてください。用途名の並びを見れば、その「無添加」が何を指しているのかが見えてきます。



用途名と物質名を店頭で読み切ろうとすると疲れてしまいます。気になる袋だけ、深呼吸してから裏面を眺めてみてくださいね。
穀物入りとグレインフリーはどちらが安全?FDA の調査が実際に言っていること


穀物の有無だけでは、キャットフードの安全性は判定できません。選ぶ手がかりになるのは、うちの子の体質と食べ具合、そして総合栄養食かどうかです。
グレインフリーを推す声も、穀物入りで十分という声も、どちらも売り場にあふれています。何が分かっていて、何が分かっていないのか。そこから見ていきます。
穀物が敬遠される理由
穀物が主原料のフードが避けられる背景には、炭水化物の量が多くなるのではないかという心配があります。猫はもともと肉を中心に食べてきた動物なので、そこを気にする飼い主さんは少なくありません。
ただし、これは一方の主張であって、制度上の決まりごとではありません。原材料名は重量の割合が多い順に並ぶので、実際にどのくらい上位に来ているかはパッケージ裏で確かめられます。
グレインフリー表示の位置づけ
グレインフリーは、小麦・とうもろこし・米などのイネ科穀物を使っていないことを指す表示です。似た言葉のグルテンフリーとは、対象になる範囲が異なります。
そして押さえておきたいのが、どちらも法的な定義や基準のある表示区分ではないという点。名称そのものではなく、原材料名と目的区分が品質を確かめる手がかりになります。
穀物にアレルギーの心当たりがある場合は、選択肢として意味を持ちます。そうでなければ、語の有無で優劣を決めなくて大丈夫。
FDA 調査の読み方
アメリカの FDA (食品医薬品局) は2018年7月から、えんどう豆・レンズ豆・豆類・じゃがいもを主原料とするグレインフリー表示の食事と、犬の拡張型心筋症 (DCM) との関連を調査しています。
ここで大事なのが、調査の対象は犬であって、猫の話ではないという点。ネット上ではこの前提が省かれたまま伝わっていることがあります。
FDA 自身が公表している内容は、次のとおりです。
- 有害事象報告の件数だけでは、因果関係を立証するのに十分なデータにはならない
- 豆類やパルスは長年ペットフードに使われており、本質的に危険であることを示す証拠はない
- DCM と食事の関連は、複数の要因が絡む複雑な科学的課題である
- 報告例はグレインフリーの食事からも、穀物入りの食事からも寄せられている
いまの一次情報が示しているのは、穀物の有無で安心を線引きできる段階にはないということ。判断を急がず、情報の温度をそのまま受け取っておきましょう。
主食にするフードなら、まず総合栄養食の記載があるかを確かめます。そのうえで食べ残しや便の様子を見ながら、うちの子に合う一袋を絞り込んでいきます。
体重の減り方や毛づやなど気になる変化があるときは、フードの銘柄を替える前にかかりつけの獣医師へご相談ください。



穀物入りかグレインフリーかで迷ったら、いま食べているフードの原材料名を一度書き出してみてください。合う・合わないの手がかりが、意外と見えてきます。
『総合栄養食』の記載があるか|目的区分と AAFCO 基準の位置づけ


毎日の主食にするフードなら、パッケージに「総合栄養食」と書かれているかどうかがいちばん分かりやすい目印になります。
総合栄養食 (これと水だけで毎日の栄養がとれるフード) は、ペットフード公正取引協議会の公正競争規約にもとづく表示区分です。
規約では「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」と定義されています。
キャットフードの袋には、この目的区分がかならず書かれています。4つを見比べると役割の違いがはっきりします。
| 目的区分 | どんなフードか | 主食にできるか |
|---|---|---|
| 総合栄養食 | これと水だけで、その成長段階に必要な栄養がとれるように作られたもの | できる |
| 間食・おやつ | ごほうびやコミュニケーションのために、量を決めて与えるもの | できない |
| その他の目的食 | 特定の栄養補給や嗜好性を高める目的で、主食に添えて使うもの | できない |
| 療法食 | 特定の病気や健康状態にある猫の栄養面のサポートを目的としたもの | 獣医師の指導のもとで |
療法食は、飼い主の判断だけで主食に切り替えない
療法食は「特定の疾病又は健康状態にあるペットの栄養学的サポートを目的に、獣医療において獣医師の指導のもとで食事管理に使用されることを意図したもの」と定義された区分です。
パッケージには獣医師の指導に基づいて与える旨の注意書きが必須で、協議会への届出も求められています。
店頭やネットで手に入る商品もあります。ただ、うちの子の症状を見て飼い主の判断で主食を療法食に替えるのは避けたいところ。まずはかかりつけの獣医師に相談してください。
AAFCO・FEDIAF はどう書かれていれば信頼できる?
AAFCO は栄養の基準を公表している団体で、個々のフードを審査して合格を出す認証機関とは役割が違います。
ですから袋に見たいのは「AAFCO認証」の文字ではなく、AAFCO の栄養基準を満たすとメーカーが公式に記載しているかどうか。FEDIAF は欧州のガイドラインで、海外産のフードではこちらを基準に挙げていることもあります。
リンやマグネシウムなど、尿路や腎臓に関わるミネラルが気になる場合は、袋の保証成分値と AAFCO・FEDIAF が公表している成猫維持期の基準表を並べて見比べる方法があります。



基準表は数値が細かいので、まずは「総合栄養食」「対象のライフステージ」の2つが書いてあるかだけ確認できれば十分です。
主食として毎日あげるフードに総合栄養食の記載が見当たらないときは、栄養の裏づけが表示の外にある状態だと受け止めましょう。
保証成分値の読み方|『以上』『以下』の意味と炭水化物の概算


パッケージの保証成分値は、メーカーが約束している範囲を示す数字です。中身をそのまま測った実測値とは別ものと考えてください。
この違いを知っておくと、数字を見比べたときの受け止め方が変わります。
『以上』と『以下』は何を約束している?
たんぱく質と脂質には「以上」、粗繊維・灰分・水分には「以下」が付きます。表示は重量に占める割合 (%)です。
- 粗たんぱく質 (フードに含まれるたんぱく質の最低量) は「◯%以上」
- 粗脂肪 (脂質の最低量) も「◯%以上」
- 粗繊維・粗灰分 (燃やしたあとに残るミネラル分)・水分は「◯%以下」
「以上」と書かれた項目は、表示の数字ちょうどのこともあれば、それより多く入っていることもあります。
つまり保証値の差は、そのまま中身の差を表すとは限りません。小数点以下の違いで商品を並べ替えるより、原材料名と合わせて見るほうが手がかりになります。



数字が近い2つで迷ったら、食べ具合と便の様子を優先して決めています。
炭水化物が書かれていないのはなぜ?概算のしかた
炭水化物は、保証成分値の表示項目に入っていません。パッケージに糖質の欄がなくても表示漏れではありません。
気になるときは、書かれている数字から自分で見当をつけられます。
100 − 粗たんぱく質 − 粗脂肪 − 粗繊維 − 粗灰分 − 水分
引き算で残った分が、炭水化物 (可溶無窒素物) にあたります。
ただし元になる数字が「以上」「以下」の保証値なので、答えはあくまで概算。目安として眺めるくらいがちょうどよい数字です。
ウェットとドライの数字を並べるときの注意
猫缶やパウチとドライフードは、同じ種類どうしで見比べるのが基本です。含まれる水分の量が大きく違うためです。
水分の多いウェットは、そのぶんたんぱく質の%が小さく出ます。中身が薄いという意味ではありません。
種類をまたいで比べたいときは、水分を除いた状態に計算し直した数字 (乾物量ベース) にそろえましょう。ウェットはウェット、ドライはドライ。そう決めておくと売り場で迷いません。
安すぎるフード・市販品・国産と海外産はどう考える?


値段も売り場も原産国も、それだけでは中身の良し悪しを言い当てられません。見るのは表示が読み取れるかどうかという一点です。
日本国内で売られる犬猫用フードは、どこで買っても同じ法律の対象になります。
安いフードは避けるべき?
価格は原材料の構成や生産量、流通のしかたで決まります。中身を見るなら、値段より原材料名と保証成分値のほうが手がかりです。
比べるときは、袋の値段ではなく100gあたり約◯円に換算して単位を揃えます。計算は「税込価格 ÷ 内容量(g) × 100」だけ。
容量が違う商品どうしでも、この形にすれば横に並びます。そのうえで表示を見比べると、価格差がどこから来ているのかが見えてきます。



スマホの電卓で十分。売り場で候補を2〜3袋、100g単価だけメモしておくと迷いにくくなります。
同じ100g単価の物差しで市販9製品を並べた一覧は、キャットフード比較9種にまとめています。
スーパーやホームセンターのフードはどう?
販路によって法律の扱いは変わりません。義務表示5項目と成分規格は、市販品にも通販の商品にも同じようにかかります。
2010年12月から義務づけられた5項目は、スーパーの棚に並ぶ袋にも印刷されています。
売り場が違っても、確認する手順は同じ。棚の値札ではなく、袋の裏を見てから判断します。
国産と海外産はどちらが安全?
輸入品も国内で流通する以上、国産と同じ成分規格の対象になります。原産国だけで上下を決める材料はありません。
そもそもこの法律は、2007年3月に米国でメラミンが混ざったフードにより多数の犬猫が亡くなり、同年6月に日本でも混入製品の輸入販売が判明したことをきっかけに整えられました。
製造業者だけでなく輸入業者にも、2009年6月から国への届出が義務づけられています。帳簿の備えつけも同様です。
ですから、原産国そのものではなく判断材料の量で見ます。手がかりは次の3つ。
- 原産国名と、製造業者または輸入業者の名称・住所が袋に書かれている
- 問い合わせ窓口 (電話・フォーム) があり、原材料の由来を聞ける
- 猫用として作られ、対象動物とライフステージが明記されている
3つ目を挙げたのには理由があります。かび毒のデオキシニバレノールは、犬用2μg/g に対し猫用は1μg/g と厳しい上限で、猫用として作られたフードかどうかは意味を持ちます。
避けたあとに何を選ぶ?売り場で使える4ステップの判定フロー


候補が2つ3つに絞れたら、パッケージの裏を上から順に4ステップでたどるだけで決められます。売り場に立ったまま、スマホの電卓だけで終わる手順です。
① 義務表示の5項目を目で追う
名称・原材料名・賞味期限・製造業者等の名称と住所・原産国名。この5つを指でなぞって揃っているか確かめます。
読み取れない項目があれば、その袋は保留にして次の候補へ。
② 「総合栄養食」とライフステージを探す
主食にするなら、目的の区分に総合栄養食と書かれているかを見ます。これと水だけで毎日の栄養がとれる区分です。
あわせて、子猫用・成猫用といった対象の記載も同じ面で確認しておきましょう。
③ 原材料の先頭3つと添加物の用途名併記を見る
原材料名の先頭3つが個別の名前で読み取れるかを確認します。
添加物は、酸化防止剤や着色料といった用途名が個別名と一緒に書かれているかどうか。ここまでで比較材料がだいぶ揃います。
④ 保証成分値と100gあたりの価格をそろえて比べる
たんぱく質と脂質は「以上」、粗繊維・灰分・水分は「以下」の数字。同じ形状どうしで並べます。
最後に価格を内容量で割り、100gあたりいくらかに換算。ここで候補が1つに決まります。
途中で書かれていない項目が出てきたら、公式に記載なしと受け止めます。メーカーの問い合わせ窓口で答えが得られるかどうかまでが、判断材料の一部です。
選び直したフードに替えるときは、1週間ほどかけて少しずつ混ぜるのが落ち着いたやり方。食べ残しの量と便の様子を毎日ながめて、いつもと違う日があればメモしておきます。
よくある質問
売り場で迷いやすい質問は、パッケージの表示で確認できる形に置き換えると答えが出しやすくなります。
キャットフードに危険な添加物はありますか?
ペットフード安全法の成分規格で、エトキシキン・BHT・BHA は合計150g/t が上限と定められています。上限を超えたものは流通できない仕組みです。
気になるときは、酸化防止剤などの用途名と個別名の両方が書かれているかを見てみてください。
安いキャットフードは避けた方がいいですか?
価格は原材料の構成や流通量でも変わるため、値段だけでは中身を判断できません。
100gあたりいくらかに換算し、原材料名や保証成分値の表示と合わせて候補どうしを比べると、同じものさしで見られます。
キャットフードは国産の方が安全ですか?
国内で販売されるフードは、輸入品でも同じ表示義務と成分規格の対象です。
そのため国産か海外産かではなく、原産国名の表示や製造業者の情報がどこまで読み取れるかで見比べるほうが判断しやすくなります。
グレインフリーのキャットフードはやめた方がいいですか?
FDA が2018年7月から調べているのは犬の拡張型心筋症との関連で、対象は犬です。報告件数だけでは因果関係を立証できないというのが公表されている見解です。
グレインフリーは法的な定義のある表示区分ではないので、愛猫の体質と食べ具合で選んでいきましょう。
無添加キャットフードとはどんな意味ですか?
無添加という語に法的な定義はありません。何を使っていないのかは、パッケージの原材料名と添加物の記載を読んで確かめます。
語そのものより、書かれている中身が判断材料になります。
総合栄養食でないフードを主食にしてもいいですか?
総合栄養食は、そのフードと水だけで指定された成長段階の健康を維持できる栄養バランスを持つ区分です。
間食やその他の目的食は毎日の主食を補う位置づけなので、主食にするなら目的表示の確認を。迷う場合はかかりつけの獣医師にご相談ください。
スーパーで買えるキャットフードは避けた方がいいですか?
販路によって法律の扱いは変わりません。スーパーでもホームセンターでも通販でも、確認する手順は同じです。
名称・原材料名・賞味期限・製造業者等の名称と住所・原産国名の5項目と、目的区分の記載を見てみましょう。
フードを切り替えるときはどうすればいいですか?
1週間ほどかけて、今までのフードに新しいフードを少しずつ混ぜていく方法が取り入れやすいでしょう。
その間は食べ残しの量や便の様子を見ておくと変化に気づけます。下痢や嘔吐が続くなど心配な症状があるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。
まとめ|表示を読めれば、フード選びは自分で決められる
避けたいのは特定の商品ではなく、判断の材料が表示から確認できない状態です。
パッケージ裏で見るところは、そう多くありません。
- 名称・原材料名・賞味期限・事業者名と住所・原産国名がそろっているか
- 主食にするなら総合栄養食の記載があるか
- 原材料名の先頭に何が並んでいるか(多い順に書かれています)
- 保証成分値の「以上」「以下」を同じものさしで比べられるか
この4つが読み取れれば、うわさや名指しの情報に振り回されずに済みます。



売り場では、まず裏面を1枚だけじっくり読んでみてください。慣れると10秒ほどで見分けがつくようになります。
食べ残しや便の様子など気になる変化があるときは、かかりつけの獣医師に相談してください。
表示が読めれば、うちの子に合うかどうかは自分で決められます。










