既に動物病院を経営していて、日々悩まれることも多いかと思います。
日々の診療から従業員への対応などプレイングマネージャーであれば、余計やることは多いかと思います。現状事業がうまくいっていない人は、まずは今の状況からどう打開していくかが大事です。
VALUE
一つの売上指標が「年商1億円」です。
年商1億円までは開業初期からの設備で達成できると考えられます。
年商1億円以上達成し、更に事業が軌道に乗っている人は、事業の拡大も視野に入れており、
どんどん業績が上がってきたら、次の展望として、事業拡大を考えられる方も多いかと思います。
では周辺事業も含め、1拠点で大きく構える方がいいのか、
複数分院展開をしていく方がいいのか…。
結論を申しますと、動物病院業界の場合は集客できる数に限りがあるので、
複数分院展開をしていくのが望ましいです。
そして、規模が大きくなればなる程、根幹の部分が重要になってきます。
それはご自身の動物病院の価値向上です。
対従業員向け、対飼い主様向け双方に必要です。
その方法が、理念浸透とUSPです。
当社が運営している動物病院のノウハウと、コンサルティング経験を生かして
動物病院の院長向けの経営支援を行っています。
例えば税理士さんなどのように、経営顧問としてお手伝いいたします。
STEP
MARKETING
原価について
原価についても気にされる方も多いかと思います。
売上原価は薬の仕入れ額などがそれに当たります。売上原価は「25%を超えていないか」を一つの基準としてお持ち頂くといいと思います。収益の悪い動物病院はこの売上原価が25%を超えている傾向にあります。勿論、絶対に超えてはいけないという訳ではないですが、なるべく抑えられることが望ましいです。同じように販売費・管理費全体が70%以下であることが大事です。減価償却費に関しては、全体の4%が目安になります。
給与について
身近で実感できる給与の項目についてもお伝えすると、役員報酬に関しては売上の約20%になります。
ご自身の収入部分なので、全体を見て調整ができるかと思います。役員報酬以外の従業員の給与、つまり人件費ですが、動物病院業界では22%を超えると厳しくなります。
その他、限界利益(売上高から変動費を引いたモノ)が75%以上であると優良だと言えますが、こちらは税理士さん等からアドバイスいただくことも有益でしょう。
月ごとに算出しています。数値はすべてレセコンや受付で集計可能な項目です。
「売上規模が大きければそれでいい」というわけではありません。あくまでも「規模当たりでどれだけ生産性が上げられているか」が大切です。そのため年商5億円達成しても、1人当たりの生産性が1千万円なら生産性向上に力を入れた方がいいでしょう。
下記を生産性の目安にすると良いです。多少高く設定していますが、実際に達成できている病院もあります。
開業以来あまりメニュー設計を変えていない方も多いかと思います。市場や競合などをリサーチしたうえで必要であれば変えていきましょう。価格とメニュー構成をしっかりしていないと、いくらマーケティングしても「単価が上がらない」「継続率が高まらない」ということも多いです。そのため、様々な施策の前にこちらの見直しが必要です。そして、適宜見直すタイミングを作りましょう。
見直し項目
売上向上に大事なのが集患です。動物病院は集患を強化するだけでも大幅に業績は上がります。昔までは看板や紹介といった集患経路が高い比率を占めていましたが、今ではWEB集患(ホームページ・WEB広告・ポータルサイト)がメインとなってきています。
CHECK 1
目標数値はどれくらいか
目標の月あたりの新患数は、50〜60件を目標にする。
CHECK 2
どのように新患を増やすのか
新患の半数以上がWEB経由です。
動物病院業界ではまだWEBサイトさえ持っていない病院もあります。つまり、競合が少ないゆえ、WEB集患を頑張れば頑張る程、効果が出ると言えます。
ホームページを持っていない病院は制作しましょう。
制作しただけで満足される方も多いですが、しっかり飼い主様に閲覧されないと意味がありません。そのためにはグーグルやヤフーの検索結果の上位表示(SEO)を意識した動きが重要です。
上位表示をさせるためのホームページ対策例として、コンテンツ量(文章)・ページスピード・タグがあげられます。
他にも対策すべきことはありますが、昨今のSEO対策ではコンテンツ(文章)の量・質が大事になってきます。
また上位表示されたからといって、来院に繋がらなければ意味がありません。飼い主様の閲覧・動機付け・問い合わせまでの導線やデザインなども重要になってきます。
ホームページのSEO対策を行い、グーグルマップの対策を行った次の対策はWEB広告の対策です。
月5万円以上はWEB広告を実施し、一般外来の集患をするとよいでしょう。より専門的な診療科目やオペ件数を増やすためのダイレクトなWEB集患をしたい場合は、月10万円以上のWEB広告費が必要になります。
本当にWEB広告って効果があるのか?と心配される方もいらっしゃるでしょう。しかし動物病院業界においてWEB広告は費用対効果があり、しっかり反響が取れています。
やり方さえ間違えなければ、WEB広告は非常に有効になってきます。広告をかける際はエリア・キーワードなどの設定は必ず行いましょう。
しかし広告運用にはある程度のテクニックとリサーチが必要になるので、ご自分で無理に挑戦しようとせずに精通している企業等に代行してもらうことをお勧めします。
固定化・継続に繋がる手段
従来からの手法として今でも効果があるのが、はがき・DMです。
現時点では、アプリなどに比べてまだ自宅に届くはがき・DMの方がより飼い主様の来院を誘導するためには効果が出ているのが現状です。配布先は過去2年間の飼い主リストで十分です。それ以上遡っていても、転居などされている可能性もありますので、はがき・DMの配布ロスに繋がります。またDMではなく、はがきの送付でも十分効果があります。DMですとどうしても高価になってしまいますし、はがきでも十分反響はあります。
登録数
まずは友達登録を1,000件増やしていきましょう。
配信内容
リッチメニュー
リッチメニューとは、LINEのトーク画面下部に固定で表示されるメニューのことです。電話・WEBサイト・出勤表・インスタグラム・YouTube・ショップカードなどを設定します。リッチメニューを利用するなら最大で6個以内におさめましょう。
フォロー数
少なくとも1,000件以上のフォロワーを増やしましょう。
配信内容
飼い主様の継続来院で大事なのが情報提供です。ここが最も重要なポイントと言えます。飼い主様の動機付けは情報の伝達の部分が大きく、しっかりカウンセリングすることで定期継続来院をする意識を持ってもらうことが大切です。カウンセリングのポイントとして、定期的に通うことの重要性をお伝えする必要があります。
これは効率の観点からも、基本的に動物看護師が担当することがよいでしょう。その際カウンセリングの時間も予約としてしっかり確保しましょう。最大で約15分程度で説明することが大切です。直近または3ヶ月以内で予約が必要であれば、次回予約をその場で取得するとスムーズに次回来院に繋がります。
新患や継続が高まってくると「アポが取れない」「診療時間内に診療が終わらない」という問題が生じてきます。
その段階では、診療効率化に取り組みましょう。
診療効率化の方法
効率化に最適な取り組みが、予約制です。徐々に予約制を導入する動物病院も増えてきています。
メリット
デメリット
時代の流れからしても、予約制は導入するべきでしょう。一番実施しやすいのが「時間帯予約」の導入です。
それでも土日の予約が混む傾向にある場合は、飼い主様に受付で予約を取る際に、お声掛けをして平日にご来院頂くように促すことです。平日に来ると待ち時間・診療がゆったりするなど飼い主様のメリットを伝えることで、平日への誘導がスムーズに成功します。
顧客満足度向上の施策
診療が忙しいため、飼い主様に説明しきれていない病院も多いことと思います。また、説明に時間をかけるよりも次の診療を入れた方いいと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、満足度向上においてはカウンセリングの実施は必須です。詳しくはステップ05の「カウンセリング」をご覧ください。
規模が拡大していくと、周辺事業を実施される方または事業をはじめようか考えている方も多いかと思います。
結論から申し上げると、本業である動物病院の事業をしっかりと立ち上げてから、周辺事業を広げる方がいいでしょう。あくまでも飼い主様の満足度向上のために実施することです。そして、本業との連携やシナジー効果があるかという点も大切にしましょう。
主な周辺事業として、ドッグラン・ドッグカフェ・トリミング・幼稚園・しつけ教室・老犬ホーム・リハビリなどがなどがあげられます。
MANAGEMENT
動物病院を経営されていて、マネージメントに悩まされるケースは多いかと思います。
女性が多い業界ですので、実際、女性同士の揉め事も多いかと思います。
また、一部を改善すればうまくいくというケースは少なく、
全てが繋がっているものです。
組織のレベルにもよってきますが、一つ一つ改善していくことが重要です。
定期的に従業員を採用する場合は、採用サイトの制作も視野に入れると良いですが、とりあえず作っただけでは効果は見込めません。応募者の気持ちになって、応募が来るような構成にする必要があります。つまり自分も一緒に働きたいと思わせる動機付けです。
なかなか人員が定着しないとお困りの病院も多いかと思います。条件が整備されているのなら、教育体制やキャリアの部分が原因の可能性もあります。大事なのは、個々人の成長と将来像を見せられるかです。
専属の教育担当者
新人に対して教育担当者を1人つけることが重要で、担当者も丁寧に教えられる人が望ましいです。
動画マニュアル
あわせて、マニュアルも用意しましょう。できれば動画で整備していくことがいいです。
教育カリキュラム
「新人がどこまでできるようになったのか」を一覧で理解できるようなカリキュラムも必要です。その進捗を一緒に追っていくことが大切です。新人としても、「自分はここまでできるようになったんだ」と理解でき、自身の自信にも繋がります。
次に従業員が頑張った分だけ、頑張りを正当に評価をしてあげることが大事です。
なんとなく長く勤務しているから昇給していたり、ざっくりした指標で賞与を決めている方も多いかと思います。
昇給
昇給は事前にピッチ(地域にもよりますが、看護師の場合、2,000~3,000円程度/獣医師の場合、3,000~7,000円程度が適正)を明確にして、従業員に示しましょう。
また毎年一定額必ず上がるということではなく、どのレベルに達したらこれくらいまで上がるという基準も明確にしておくといいです。
賞与
賞与は夏、冬に2回、年間の総額が基本給の1.5ヶ月〜3ヶ月に設定されることが多いです。ただし、こちらも業績や評価制度を元に従業員一人ひとり設定すると、モチベーション向上に繋がります。経営者が想像している以上に従業員は院長からの評価を大事にしています。特に頑張っている人にはちゃんと評価してあげなければいけません。なぜそのような評価になったのか、どう成長して欲しいかを明確にする必要があります。
是非マーケティングとマネージメントの両方を強化し、動物病院の発展に繋げてください。