これから動物病院を開業する際、業界の流れを心配される方や開業おいて失敗しないか不安を抱いている方も多いかと思います
~動物病院業界の懸念材料~
下記が主によく相談、お悩みとして多いモノになります。
・飼育頭数の減少
飼育頭数などの絡みも心配される方もおられるかと思います。勿論、将来的には日本の人口は減少しますし、それと共に飼育頭数は減少していきます。ただそれだけの理由で開業を諦めていたら、何も出来ません。
むしろペットの家族化にともない、ペットへの支出は年々増加しています。つまり、ペット市場全体で見たら成長期と言えます。犬は顕著に減少している一方、猫はほぼ横ばいで推移しているので、猫を強化していくといいです。
・競合数の増加
確かに毎年1千件程動物病院は増えています。つまり、競合数がどんどん増加しているということです。
これに関しては、わざわざ競合が多い立地で開業することないよう、見極めた方がいいでしょう。まだまだマーケティングがしやすい商圏も多くあります。まずは商圏分析と競合分析をしていきましょう。
・企業病院の増加
徐々に獣医師以外で経営する病院が増加しています。勿論、企業病院ではあるので、資金やマーケティングなどが強いケースが多いです。ただ獣医師がずっと勤務してくれるという保証がないため、何かに特化したり・強みを打ち出すことが難しくなってきます。
そのため、個人でやる方が必然的に強みを打ち出しやすいということになります。しっかり強みを打ち出せたら企業病院と差別化出来るということです。
業績だけの心配であれば、強みとそれに対するマーケティングを実施することで解決します。
~動物病院開業の失敗について~
これから開業する方にとってはあまり考えたくないことだと思いますが、失敗する開業には傾向があるので、その点をしっかり対策することで、開業を成功へと導けるかと思います。
いくつか開業で失敗する例を記載致します。
・立地が悪い
開業での失敗の多くが、立地が悪いことが原因です。開業する際、色々と物件を見て回ると思います。あまりにも色々見ることで、「ここでいいや」と妥協してしまうケースもみられます。立地に関しては確実に妥協してはダメです。販促などは変えられても立地は一度決めたら変えられないです。
また、実家が近いから、家賃が安いからという安直な理由で立地を選ばれる方もいます。しっかりと人口、競合性、分断要因などをみて、判断しましょう。
こちらに関しては、お金をかけても良いので、診療圏分析や他者からの意見をもらう事が重要です。
・集患をしていない
「今勤務しているところがたくさん通ってくれているから、自分も開業したら勝手に患者さんがくるだろう」と思っている方も中にはおられます。今勤務している病院はあくまでも歴史があり、それにより多くの患者さんが通ってくれています。そのため、開業前からしっかり集患体制を構築する必要があります。また、HP制作会社に丸投げするのではなく、自ら率先してコンテンツ制作に参加しましょう。
・獣医師ではない経営者、且つ動物病院業界未経験者が開業
動物病院は獣医師でなくとも院長(獣医師)を雇うことで経営ができます。そのため、他業界から参入される方・会社も徐々に増えてきています。ただ中には失敗例もお聞きします。そして、そのほとんどが動物病院業界未経験者になります。獣医師ではない限り、しっかりとしたノウハウがないと、やはり動物病院経営は厳しいと言えます。
・運転資金がショートする
思ったよりスタートダッシュが悪かったという病院もいるかと思います。その時、運転資金がどれほどあるかが大事になってきます。そのため、最低の予想値なども事前に捉えていく事が重要だと思われます。
他にも失敗の理由はあるかと思いますが、大事なのは如何に真剣に取り組むか、時間を割くかです。勿論、獣医師として勤務しながら開業するのは大変かと思います。
~動物病院の成功ポイントについて~
動物病院を開業される際、勿論成功させたいという想いはあるかと思います。
ただ何を持って成功かというのも難しいですが、まずは定量的にはかれる数値で判断するのもいいかもしれません。
数値であれば、下記のような指標に近いといいでしょう。
診察台1台当たり:5千万円 / 年
獣医師1人当たり生産性(院長除く):5千万円 / 年
従業員1人当たり生産性:2千万円 / 年
です。この数値は常に追っていきましょう。
またワンドクターであれば単純に1億という数字を目標にしてもいいかもしれません。
下記、動物病院経営・開業が成功している病院のポイントを記載します。
・立地がいいこと
開業する際、立地は非常に重要です。市場性・競合性だけでなく、通いやすい環境かどうかが重要です。ただ立地が良い所は家賃も高い傾向にあります。そこで見込まれる業績もある程度シミュレーションしときましょう。
・客単価が1万円以上あること
客単価が1万円以下の病院は業績で伸び悩んでいる傾向にあります。少なからず、客単価を1万円以上に持っていかないと年商1億は厳しくなってきます。健康診断受診率、オペ比率、犬・猫の比率(エキゾも診ている病院)が向上すると、客単価も上がる傾向にあります。
・WEB媒体で集客が出来ている
自社HP及びポータルサイトなどで集客がとれる体制にする必要があります。月新患が何名いるかをまず把握しましょう。30人以下であれば、確実に対策が必要です。
・従業員と共有・改善できる環境
ミーティングなど、情報共有・課題解決ができる場を用意しましょう。ただただ診療するだけでは業績も向上しにくいです。現場では常に問題も起きるので、しっかりと課題解決に取り組むことが飼い主満足度並びに業績に影響します。
・応募がきやすい環境
ある程度、業績が伸びてくると採用が必要になってきます。応募がこないとなると、採用などに時間を取られるケースが多いです。また、人が少ないことによって機会損失が起きる可能性もあります。まだ他業界と比べ、応募がきやすい状況ですので、しっかり病院の条件・風土などを整えていきましょう。
また、今回の私の記事もそうですが、他者からどんどんアドバイスや意見を真摯に受け止め、取り組むのが大事です。
そして、しっかりと取り組んだ病院は開業初月から良いスタートダッシュができます。
色々な外部要因もあるかと思います。ただそれだけを気にし過ぎたら開業など出来ません。
是非、前向きに開業に取り組んでいって下さい。