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動物病院開業の立地・規模

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動物病院開業の立地・規模

動物病院開業の立地・規模

動物病院の開業において、最も大事なのが立地・規模です。

この立地選定によって動物病院が繁盛するかしないかの境目になる可能性が高いです。

そして、動物病院の場合、入れるテナントが限られてくることもあり、この立地探しに非常に苦労します。実際、不動産に問い合わせてみても、該当する物件がないパターンも多いです。おおよそですが、不動産会社を5社当たったとして、そのうち紹介してくれるのは良くて1社です。それ程、動物病院が入れるテナントの取り扱いは少ないです。そのため、希望エリアから少し離れた場所になったりする可能性もあります。それもあり、候補エリアはいくつかピックアップしておくのが良いでしょう。

 

~どのような立地が良いのか?~
・交通量が多い道路に面している
基本的にはHPで集患するのですが、わかりやすい場所に店舗がある方が望ましいです。ネットで調べた後に、「そう言えば見たことがある」というぐらいの記憶があればベストなので、人の目に付く場所が望ましいです。

・駅近く
都心部であれば、駅近くが望ましいでしょう。可能であれば、ターミナル駅10以内が望ましいです。郊外立地であれば、駐車場完備を心がけましょう。
※駅によって駅近でなくても大丈夫なケースもあります。

・1階
空中店舗の動物病院の集患は少し難しくなるので、可能であれば1階の店舗を探しましょう。もし空中店舗を選択する場合は、共有部分から店舗に入るので、築浅の建物を選ぶことが望ましいです。

 

~大きさはどうすればいいか?~
これから動物病院の開業を視野に入れている方は
「どのような動物病院経営していくか」
「規模の大きさをどうするか」
を考えるかと思います。

この規模の大きさは、ご自身がどのような診療をしていくかによって決まってきます。

例えば、1次診療のみなのか、1.5次診療なのか、2次診療なのかによって、病院の広さが決まってきます。なぜなら、オペなどが増える分、機材を設置するスペースが必要になってくるからです。また、どれだけの件数を診ていきたいかなども事前に構想が出来ていれば、診察台を何台置くか、従業員の数はどうするかなど、規模の大きさをある程度決めていけるでしょう。実際、件数が増えていってどんどん拡張するところや移転するところなどもありますが、事前に構想が出来ていれば、最初の段階である程度、規模の大きさも決めることはできるでしょう。

1次診療であれば、ある程度コンパクトにしても問題ないかと思います。
1.5次、2次となると、それなりに大きさが必要になってきます。
また、都心では2次診療を実施する広さがなかなかないので、2フロア使って運営する病院もありますが、導線が悪くなるので、可能であれば、ワンフロアが望ましいです。

下記、大きさの目安になります。
物件探す時に役立ててください。

1次診療:15坪~30坪
1.5次診療:30坪~60坪
2次診療:60坪以上

 

~何件程、物件を見れば良いでしょうか?~

これに関しては、巡りあわせもあるので、一概に数字で表せませんが、約10件程は内見した方が良いでしょう。10件みてもいまいちしっくりこない場合は継続して探すのが良いです。

不動産を回るのは骨が折れる作業です。そのため、妥協したくなる気持ちも出てきますが、そこはしっかり基準を持って納得がいく不動産を選択しましょう。

また、早めに探した場合、空家賃が発生するので、開業半年前ぐらいから探すのが良いでしょう。

立地が見つかれば、次は診療圏分析をしていきましょう。商圏分析では、その立地の人口、世帯、年収を調べ、獲得ペット数などの見込みなどを出していきましょう。また同時に競合分析もするべきです。競合先の取組み内容、料金、診療時間、規模など最低限知っておく必要があります。

診療圏分析・競合分析で問題なければ、最終的に立地を選択していきましょう。

立地選択は慎重に実施してください。また、何件も見ていたら思い込み・バイアスなどかかる可能性があるので、しっかり第三者からの意見を聞くと良いでしょう。

 

また、動物病院を開業する際、不動産関連で初期費用が大きくかかってきます。この初期投資は思いの外、高額になってきます。そのため、事前に計画しておくのが大事になってきます。

下記、テナントなどの不動産を借りる時に必要な項目になります。
・保証金
・礼金
・家賃
・共益費
・保証料など

様々な項目が足されていき、初期に払う金額が高くなってきます。普段の個々人の引っ越しのようなイメージとは違うということも認識しておくといいでしょう。

例えば、月50万円のテナントを借りようと思ったら、初期に300万円ケースもあります。

※不動産屋・物件によって差は出てきます。

なぜここまで費用が高くなるかと言うと、一つは保証金です。万が一借主が家賃の支払いができなくなったりする時のために、支払いをそれにあてます。家賃の3ヶ月分などの設定が多いため、必然的に高額になってきます。つまり、月の家賃が低ければ、その額も低くなるということです。

ただ皆様は良い立地を選択したいと考えると思います。そうなると、月の家賃並びに初期の支払い金額が高くなるということです。
そして、保証会社を通すケースが多いと思いますが、その際、保証会社の審査が通ってから、契約を進めていく流れとなっていきます。

良い立地を見つけ、すぐ契約するのではなく、初期の金額も把握した上で判断するのがいいでしょう。多くは前払いという点も把握しておきましょう。

また、不動産を借りてすぐにオープンできるというわけではありません。施工や機器の搬入などで、最低でも3ヶ月間はかかると見た方がいいです。

つまり、3ヶ月以上は空家賃を払い続けなければいけないということです。つまり、先程の話と合わせると、月50万の家賃のところを借りようと思うと、空家賃とかも含め、約450万はかかってくるということになります。

設備や運転資金はあくまでも開業後に使うモノで想定し、借入するので、初期の不動産関連の経費は自分から捻出することが多いです。そのため、借入の際、借入額の10%は必要と言われますが、それ以上に自己資金として持っておく方が望ましいです。

家賃にもよりますが、自己資金として500万〜600万程あればだいたいのケースは大丈夫でしょう。勿論、それ以上あることに越したことはありません。

これから動物病院を開業される方はここら辺を考慮した上で不動産を探していくのがベストになります。

~間取りの大きさ~
動物病院を開業する際、配置・導線をどうしていくか疑問を抱く方も多いかと思います。内装業者の言われるがままで対応してしまう場合もあるでしょう。

・受付:2坪〜3坪程度
カルテ棚を置く置かないでこの広さも変わってくるかと思います。特に置かない場合でこの広さがあれば十分かと思います。また診察室の近くに設定し、すぐに連携が出来る体制にあるといいです。

待合の椅子に関してですが、診察台に応じて脚数を考えるといいです。1時間に4件診断するとして、1件は診察室に入っていると仮定すると、3件分の椅子は必要ということになります。つまり診察台が2台ある場合は、少なくとも椅子は6脚必要ということになります。スペースに余裕がある場合は、診察台1台に対して4脚は用意するといいでしょう。

・診療室:2坪程度
診療効率化したい場合は椅子などを用意せずにスタンドで対応するのが望ましいです。

・処置室:3坪〜5坪程度
診療室や他の部屋と繋がっているケースが多く、導線の中心部となっていることが多いです。ここはモノを煩雑に置いてしまっているケースも多いので、その点は気を付けるといいです。またこの処置室は飼い主(クライアント)は基本的に入らないようにしましょう。

・カウンセリングルーム:1.5坪程度
こちらは設置していない病院も多いですが、情報提供のためにも設置していくことが大事です。

・手術室:2坪〜4坪程度
こちらは手術の実施内容によって広さは変わってきます。避妊・去勢、歯科処置での手術であればこちらの坪数で問題ないでしょう。

・X線撮影室:2坪程度
こちらはある程度スペースが必要になります。

・犬舎:1坪以内
・猫舎:1坪以内
こちらは犬と猫を離れた場所に置いてあげると丁寧かと思います。
※ICU設置の場合は広めに取る必要があります。

・入院室:4坪〜5坪程度
ペットホテルをどこまで受け入れるかにもよってきますが、ある程度受け入れるのならば、この広さでも大丈夫かと思います。

・薬浴室・トリミングルーム:2坪〜3坪程度
トリミングなどをどこまで注力するかによっても大きさは変わってくるかと思います。

・更衣室:1.5坪〜2坪程度
執務室と一緒にしている場合もあるかと思います。ただ男女がいる場合は別途設置するといいでしょう。

・執務室:4坪〜5坪程度
ミーティングなどを実施するならば、ある程度広さがあるといいです。

・トイレ:0.5坪~1坪程度
飼い主(クライアント)用と従業員用の二つあった方がいいでしょう。テナントなどでトイレが共有であれば、こちらの必要がなくなります。

 

こちらはあくまでも目安になります。坪数に余裕がある場合は、一つひとつもう少しゆとりのあるように設計しても大丈夫かと思います。ただその際、導線が広くなるので、非効率になるのだけは気を付けないといけません。また、広い場合は中待合などを作るといいでしょう。

逆に坪数が少ない場合は何かと何かを統合したり、コンパクトにすることも出来るかと思います。

ご自身のこだわりの部分でまた変わってくると思います。ただ大事なのは導線です。

診察室が2箇所あるのならば、それをどう行き来する導線が短くて済むかなど無駄な導線をどう省くかが大事です。導線が広い場合は、インカムや電子カルテで効率化を図る必要があります。

そして、施工業者の選定も重要です。施工業者によって、金額も大きく変わってきます。そのため、まずは相見積もりを実施した方がいいでしょう。

一度内装が完成すると、変えることが難しいです。そのため、この内装は慎重に判断していきましょう。