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動物病院の給与・福利厚生

  • 経営

動物病院での給与・賞与

動物病院を開業、経営される場合、給与・福利厚生など待遇面の設定に悩まされている方も多いかと思います。
そして、それは採用の応募や定着にも関わってきますので、しっかり考えた上で判断するべきです。

~労働条件~

・給与
まずはおおよその獣医師、動物看護師の給与についてお伝えします。

獣医師であれば、500万円〜800万円
動物看護師であれば、200万円〜300万円

勿論、これ以上もらっている従業員もいるので、目安で捉えていただくといいです。

また、国家資格を取った動物看護師には資格手当を支給したらいいかと思います。金額としては10,000円〜20,000円程を支給してあげるといいです。
そして、全体の人件費を22%以内で抑えられたら理想です。よく聞く「人件費比率が高い」というのは売上に対して給与設定が高いか、売上に対して人数が多過ぎるということになります。

・中途経験者への給与
スキルは新卒よりもあるので、評価・反映していかなければいけません。ある程度のスキルを満たした上で経験年数を加味して、給与に反映していくといいです。

・昇給
毎年昇給していきましょう。

獣医師であれば、3,000円〜10,000円
動物看護師であれば、2,000円〜5,000円

が昇給の目安になります。

人件費などの絡みもあるので、シミュレーションをした上で決めていきましょう。
基本的には年1回昇給していく病院が多いかと思います。ピッチなど細かい設定も必要ですが、おおよその上がり幅を記載致します。

※昇級の上がり幅は最初の給与のスタートの金額にもよってくるかと思います。
※こちらはあくまでも目安の昇給金額になります。

・賞与
賞与についてもバラツキはあります。夏、冬両方だしているケースもあれば、冬のみというケースもあるかと思います。大事なのは賞与が基本給の何ヶ月分かということです。

「基本給の1.5ヶ月分〜2.5ヶ月分」が一つの目安となります。ただ動物病院で賞与を基本給の2.5ヶ月以上出しているところは然程多くはありません。

病院の状況によっては賞与がなかなか出せないというケースもあります。特に業績が落ち込んでしまった時はそうせざるを得ないこともあります。その際はしっかりと従業員への説明も大事になってきます。

これらの条件は従業員の定着にも繋がってきます。また昇給・賞与は必ず面談を実施し、フィードバックしていきましょう。

ただただ金額を伝えるのではなく、

「何故そうなったか」
「今後、実施・チャレンジして欲しいこと」
「何を期待しているか」

を伝えていきましょう。それにより、更に仕事に励む従業員も多いです。

また業績や個人の頑張りなどを反映した評価制度も導入するといいでしょう。

 

~労働環境~
労働条件も勿論重要ですが、働く環境も大事になってきます。

これからの動物病院業界に大切なのは、
「如何に女性が無理なく長期的に働けるか」です。
これは獣医師に限ったことではなく、動物看護師、診療アシスタント、受付全員が対象です。
動物病院では女性主体の職場というのは、皆様もご存知だと思います。また、女性獣医師も増加していますので、より動物病院内での女性構成比も上がっていくと思われます。

具体的にどのような対応をしていけばいいかお伝え致します。

・勤務体系の柔軟性
一つは時短正社員です。これをまだ取り入れている動物病院は少ないです。
時短正社員は基本給及び総支給が正社員よりも少ない分、働く時間も短く設定します。家庭などの関係で17時には帰宅しないといけない方も多いので、こういった取り組みも大事です。

 

・育休・産休への対応
そもそもこの制度自体をあまり理解されていない方もおられるので、周知のための勉強会など実施するといいです。また、育休・産休を取って復帰されるような職場は対外的にも支持されまし、その実績を伝えていくと採用にも繋がります。

 

・有給の消化率
子供の行事などで休みたい従業員も多いです。こういったタイミングで有給が取れない、取りづらい環境は離職に繋がります。プライベートもちゃんと充実してもらうことが大事です。会社から個人に対して、有給の消化などの進捗も伝える環境であれば、尚良いです。

 

・女性特有の休暇を設ける
企業などでは徐々に女性特有の休暇などを設けているケースもあります。
ご自身以外にも動物病院は女性が多い職場です。つまり、女性が働きやすい環境が重要です。これは全国的にそういう流れになっていきます。そのため、早い段階から取り組むといいでしょう。

 

・保育への手当
子供が幼い時期の勤務は精神的にも経済的にも大変です。それを支えるような手当があれば従業員も助かります。また、企業主導型もその一つです。

 

・余剰人員
子供がいると、急に休まないといけないケースが出てきます。柔軟に対応出来るようなるべく余剰人員で動いていきましょう。

 

・福利厚生
福利厚生ですが、最近では社保完備を重視される方も増えております。他にもセミナー負担、ペット手当、住宅手当などがあげられます。

 

・労働時間
そして、労働時間も大事です。長時間の拘束、勤務、残業はパフォーマンスを落とすだけでなく、モチベーションや定着にも影響します。今、勤務時間が長い病院は短時間高生産性の病院に変化させていかなければいけません。夜間や高度な診療を実施している病院以外で、19時以降も診療している場合は早めに時短しましょう。
女性の獣医師も増えている中、動物病院業界は女性が働きやすい環境を整えなくてはいけません。
昔みたいに長時間重労働のような勤務体系では応募すらきません。またそのような噂が広がるのも早いです。あくまでも働きやすい環境があっての働きがいになります。

 

・キャリアステップ
長く勤務してもらうためにキャリアステップをしっかり構築しましょう。その際、家庭と両立できるようなキャリアも見せてあげるといいです。

 

 

他にも労働時間や福利厚生なども大事になってきます。動物病院業界の時流などを把握するのは勿論ですが、条件・マネージメントに関しては他の業界なども参考にするといいです。
ただ設定しただけでなく、従業員が満足できる環境の追求をしていくことが大事です。
動物病院業界は他の業界と比べ、まだまだ働きにくい環境です。
一院一院が待遇を改善していき、業界全体を変えていきましょう。