動物看護師が国家資格化したことで、今後、動物看護師の活躍が注目されています。
※2023年(第一回愛玩動物看護師国家試験)には18,481人もの方が国家資格に合格されています。
それにより、動物看護師が活躍できる場がある動物病院が繁栄していくことが予想され、逆に動物看護師を蔑ろにしている動物病院は衰退していくでしょう。
また、獣医師が不足していて、動物病院経営は今まで獣医師に依存する体制でした。
ただ動物看護師が国家資格化したことで、この依存型を脱却することが出来るようになります。とは言えども、今、既に依存している病院はなかなか体制を変えられないのが現状です。そのため、これから開業する方は最初から動物看護師主体の体制に変えていくべきです。
勿論、今、獣医師主体の診療の病院も取り組み次第で変えることが出来ます。
~まずは業務の棚卸~
業務を棚卸しし、獣医師ではなく、動物看護師でも実施出来る業務をどんどん増やしていくと良いです。
獣医師の手をどれだけ無くしていくかが大事なポイントです。
つまり、獣医師は獣医師にしか出来ない仕事のみを実施するべきです。この業務の棚卸しは普段の診療効率化にも使えます。「この時間にこれだけかかっていて、これを誰が実施しているか」など見直す良い機会になります。
獣医師の中には「動物看護師には任せきれない」というような発言をされる方もおられます。動物看護師は国家資格化されますし、その重みを周りも感じる必要があるかと思います。そして、いつまでもそのような発想でいると、生産性は伸びることはないです。
~動物看護師の役割~
今後、動物看護師の役割として、診療効率化、固定化、飼い主満足度・継続率向上があげられます。それが動物病院の生産性向上に繋がっていきます。
①診療効率化
国家資格化することで、今以上にやれる範囲が広がります。つまり、今まで獣医師が担っていた業務を動物看護師が実施することができます。そうすることで、獣医師の時間が空き、より多くのアポイントをいれることができ、診療効率化に繋がります。また同時に待ち時間改善にも繋がっていきます。
②固定化
歯科処置や健康診断は全て動物看護師が説明・成約していきます。そうすることで、動物看護師も定量面でも評価できます。
そして、動物病院経営で大事なのは固定化です。この固定化ができるかどうかは動物看護師の活躍によってきます。
③飼い主満足度・継続率向上
動物病院において、情報提供が不足しているケースが多いです。動物看護師がこの部分を補うことで、飼い主様の満足度向上に繋がってきます。
そして、それはカウンセリングで解決できます。
カウンセリングすることで、業績の寄与は勿論、飼い主様のQOL向上にも繋がります。
・カウンセリング方法
スライドやパンフレットなどを用いて説明するのが大切です。可能であれば、座って落ち着ける状況で話すのが一番です。受付などで簡単に説明する病院もありますが、受付での対応は帰る意識が強くなるため、なかなか真剣に話が入ってこないです。カウンセリングルームで実施していくことがベストです。
・カウンセリング内容
話す内容も重要です。こちらは何を伝えたいかによってきますが、いくつか大事なポイントはおさえておく必要があります。
・カウンセリング内容
■当院の理念・守ってほしいこと
■ワクチンについて
■健康診断について
■避妊去勢について
■フードについて
■しつけについて
■かかりやすい疾患について
など
内容は必ず犬と猫で分ける必要があります。更に子猫、成猫で分けるのが重要です。また、一度に全部話してはいけません。人間が把握出来る量にも限りがあるので、初診、セカンドなどで話す内容・量を分ける必要があります。
・カウンセリングでの効果
普段、ペットと生活していてもQOLはなかなか上がりにくい状況です。そのため、動物病院側が知識をどんどん提供していくことも医療の一つだと考えられます。
また、カウンセリングをすることで歯科処置の受診、健康診断の受診などが大幅に増えていきます。つまり、予防分野が拡大するということです。これは既に人間の歯科の分野では確立され始めているので、ペットの分野でも増えていくと予想されます。
・カウンセリング導入にあたって
診断の部分は獣医師がしないといけませんが、その他の情報提供などは動物看護師が担うことが大事です。勿論、それに伴う知識も必要です。ただこちらはしっかりとOJTすることで、対応することが可能になってきます。
しかし、このようにカウンセリングを導入する時は、現場からは「忙しい」「人が足らない」などの不満も上がってきやすいので、それがどうやったらできるかをしっかり話し合う必要もあります。
つまり、現場も納得した上で、カウンセリング体制を構築していくことが重要です。
今後、動物看護師は売上に直結するようなことが求められます。
今まで動物看護師は定性面でしか見てこなかった病院も多いですが、今後は成約件数や金額も含め、定量面でも徐々に評価されるようになってきます。
まだ獣医師1人当たりで生産性を見ている病院も多いですが、今後は従業員1人当たりの観点で生産性を見ていかなければいけません。
動物看護師の活躍こそ生産性向上の鍵とも言えます。
そして、動物看護師主体の体制にしていくことで、獣医師採用が減ります。
その結果、毎年悩んでいる獣医師採用の負担も軽減されます。
動物看護師の活躍は色々な側面でプラスをもたらします。これから開業する方は初めから動物看護師を主体とした診療の動きにしていきましょう。