動物病院を開業される際、資金について悩まれる方も多いです。動物病院の開業は医療サービスを提供する専門性の高い仕事であり、十分な準備と資金調達対策が重要になります。ここでは、動物病院の開業におけるお金の考え方や活用方法について一つひとつお伝えします。
【自己資金】
大前提に、自己資金0円で開業するのはなかなかハードルが高いです。動物病院は医療機器や設備投資が多く、受付や診療体制の構築にも費用がかかります。この自己資金は、開業初期に必要な出費や、金融機関からの資金調達時の審査にも大きく影響します。
- 自己資金の目安
自己資金は多ければ多いほど良いとされています。ひとつの目安として、借入額の10%は保持しておきたいところです。一次診療の借入額はおよそ4,000~5,000万円が多く、その10%となると400~500万円です。
可能であれば500万円以上あると安心ですが、条件次第ではそれ以下でも開業できるケースもあります。借入時に不利にならないためにも、自己資金はしっかり確保しておくことが重要です。
当社開業相談時の自己資金 N数:38
- 自己資金からの出費
開業時はすぐに借入が実行されるわけではありません。また、借入は医療機器などの設備投資を目的とすることが多く、開業前の支出は自己資金から賄う必要があります。
これらは「開業準備費」として後に経費計上でき、税務上も活用可能です。
・不動産契約
動物病院の開業においては、立地の選定が事業成功を左右する重要なポイントになります。不動産契約では初期費用を自己資金で支払うケースがほとんどで、物件の条件や周辺環境を十分に検討したうえで契約することが大切です。
不動産会社としては早期契約を希望するため、借入前の支払いとなることが多くなります。
保証金は家賃の6〜9か月分が一般的で、例えば家賃30万円の場合、初期費用として約180万円が必要になります。開業準備の段階で、ある程度の現金を手元に残しておくことが重要です。
・打合せでの交通費|飲食代
物件確認や内装・設計の打合せ、業者や施工会社との調整などで細かな費用が発生します。金額自体は少ないものの、積み重なると負担になるため注意が必要です。
・調査費|コンサルタント契約
開業支援や経営コンサルタントなど、専門家のサービスを利用するケースも増えています。
金額はかかりますが、開業後の経営トラブルや方向性のズレを防ぐ意味では、結果的に事業成功につながる投資となることも多く、長期的に見ると有効です。
- 親類からの援助
親類からの支援がある場合、金融機関からの評価が良くなるケースもあります。動物病院の開業では親族からの援助を受けている方も多く、自己資金が少ない場合でも資金計画が立てやすくなります。資金計画の一部として事前に相談しておくと安心です。
【金融機関】
動物病院開業では、ほとんどのケースで金融機関からの借入を行います。一次診療の場合、借入額は3,000~5,000万円が目安です。
多くの場合、日本政策金融公庫と地銀を組み合わせた協調融資となり、返済計画を無理のない形で組むことが重要です。
資金に余裕があるほど経営は安定しやすく、結果的に収入面でも有利になります。
経営が軌道に乗れば安定した利益を出すことも可能ですが、運転資金が不足すると黒字でも廃業に追い込まれるケースがあります。そのため、開業前から長期視点での資金計画を立てておくことが重要です。
- 日本政策金融公庫
動物病院開業時に最も利用される金融機関です。金利が低く、長期借入が可能で、医療機関向けの支援制度も充実しています。
ただし、融資後は定期的な面談が少ないため、資金管理や税務管理は自己責任となります。 - 地銀|信用金庫
開業地域の金融機関から借入するケースも多く、今後の経営において重要なパートナーになります。
定期的な面談を通じて経営状況を共有することで、追加融資や設備投資、スタッフ採用に関する相談もしやすくなります。 - ノンバンク
リース会社などを活用して医療機器を導入するケースもあります。
特に手術設備や検査機器など高額な機器は、購入ではなくリースを活用することで初期負担を抑えることが可能です。
【必要経費】
開業時は医療機器だけでなく、受付備品や消耗品など細かい出費が多く発生します。
これらは借入ではなく自己資金で支払うケースが多いため、事前に費用を洗い出し、リストを作成しておくことが重要です。
- 買いそろえるモノ
・手土産
・内覧会チラシ印刷・配布
・PC
・HP制作
・ロゴ制作
・初期在庫(薬・消耗品)
・家具
・文具・受付備品
また、開業後に「想定より費用がかかった」というケースは非常に多く、特に内装工事の追加や医療機器の追加購入が発生しやすい傾向があります。
そのため、最初から余裕をもった資金計画を立てることが重要になります。
さらに、運転資金の確保は非常に重要です。売上が安定するまでの間、最低でも半年分の固定費を賄える資金を確保しておくことで、経営リスクを大きく下げることができます。
資金不足は、経営悪化だけでなく最悪の場合「廃業」につながる要因にもなります。
逆に、計画的な資金管理と適切な支援を受けることで、安定した収入を得られる動物病院経営が可能になります。
資金面での悩みは非常に多いですが、事前準備と正しい知識があれば、無理のない形で開業を進めることができます。
最後にまとめとして、
・立地選定
・資金計画と返済計画
・内装や機器の選定
・スタッフ体制
・事業全体の見通し
これらを総合的に検討することが、成功する動物病院開業の鍵となります。
ぜひ今回の内容を参考に、計画的な開業準備を進めてみてください。
執筆者
株式会社ねこのタミ 代表取締役 辻建三
実際に動物病院の開業を経験したことで、無駄のないセンターピンをおさえたリアリティのあるアドバイスを実施します。
動物病院の経営コンサルティング経験を生かし、開業後に持続的に飼い主様に選ばれ続ける病院作りを見据えた開業を体制を構築していきます。
また、ゴールが「開業」ではなく、「開業後しっかり繁盛するか」に定めており、黒字化するまでサポートを実施しています。
医療関係者とは500件以上接点があり、医療関係のセミナーを10年以上計100件以上
コンサルティング実施先は約80~100社
評価構築サポート 100社以上
EDUWARD Press 執筆
パナソニック株式会社 執筆


