医療機関において経営コンサルティングを契約することは、以前よりも増えてきました。実際、医療業界全体を見ても、医療分野において収益性の確保が難しくなってきているだけでなく、人材採用の面でも課題が顕在化しており、こうした時代背景の中で経営コンサルティング会社に依頼する医療機関が増加しています。特に、医師やスタッフの採用・定着、職場環境の向上といった、経営者が抱える悩みに対する対応として、外部のノウハウを活用するケースが増えています。また、医療機関においては、経営コンサルティングのほかにも、事務代行などの業務を単発で依頼するケースも多く見られます。こうした外部支援を活用することで、経営者が本来注力すべき業務に集中しやすくなり、結果として業績の安定や向上につながる側面もあります。
動物病院においても、こうした流れは同様です。動物の診療やクライアント(飼い主)への対応を日常的に行いながら、経営判断も担う動物病院の経営者は、多くの悩みを抱えています。ただし、医科・歯科と比較すると、経営コンサルティングの依頼数は圧倒的に少ないと言えます。
■ 動物病院業界で経営コンサルティング依頼が少ない理由
・成長している業界
動物病院業界は、他の医科・歯科と比べ、まだ成長している業界だと言えます。一般的に、業界が飽和状態に近づくほど、赤字対策や経営改善、将来的な売却や事業承継を見据えた戦略立案といった経営者の悩みが顕在化し、経営コンサルティングを依頼するケースが増える傾向があります。
動物病院業界は、現時点ではそこまで飽和状態にないため、経営コンサルティングを依頼する必要性が相対的に低く、依頼数も必然的に少ないと考えられます。また、医科・歯科と比べて施設数の母数が圧倒的に異なります。歯科医院が約6万強あるのに対し、動物病院は1万弱にとどまっており、母数の観点から見ても依頼が少ないと言えるでしょう。
・売上規模が低い
医科・歯科と異なり、動物病院は診療が完全に自費で行われます。そのため、業界全体の売上規模や収益性は、他の医療分野と比べて相対的に低くなりがちです。クライアントや動物のために設備投資や人材育成を優先したいと考える経営者にとって、経営にかかるコスト配分は常に悩みの種となります。
経営コンサルタントの費用は、月額15~30万円程度かかるのが一般的です。経営コンサルティングを依頼するとなると、その費用を継続的に捻出する必要があり、院長(経営者)の判断として優先順位を下げざるを得ないケースも少なくありません。この点は、動物病院経営において重要な経営判断の一つと言えます。
・成功事例が少ない
他の業界と比べて業界専門の経営コンサルティング会社が少ないため、実績や成功事例も必然的に少なくなってきます。成功事例を多数耳にしない限り、どのような対応や支援が受けられるのかイメージしづらく、コンサルティング会社に依頼することもないと考えられます。
■動物病院での経営コンサルティング内容
・マーケティング
動物病院のコンサルティングに多いのが、集患と単価アップです。集患においては、HP(ホームページ)をはじめとするWEB集患戦略の設計が主になります。
また単価アップに関しては、料金改定やアップセルなどを推奨することが多いです。
他にも診療効率化などが挙げられます。この点は獣医師の業務負担をスタッフに委譲し、医院全体の生産性向上を図るケースが多いです。
・マネージメント
最近では経営というよりも採用に悩まれている方が多く、それで依頼するケースもあります。ただ採用におけるコンサルティングは効果が見えにくいのも実情です。あくまでもコンサルタントは応募が来やすい状態を作るためのノウハウ提供や対応支援が中心となり、それで応募が増えるかどうかは環境や状況に応じて変わってきます。
また、ミーティングへの参加や個人面談など、院内に深く関与してマネジメントを行うケースもありますが、こうした支援は属人的になりやすく、コンサルタントの選定が非常に重要になります。
■動物病院での開業コンサルティング
開業においても経営コンサルティングがサポートするケースが多いです。その際、大事なのは経営コンサルタントの経験と知見、そして開業全体の概要を理解した上での実践的なノウハウです。
・開業の流れを確実に知っているか
開業をしたことがない人でないと開業フローを把握していないことが多いです。これはやはり「やったことのある」「知っている」では大きく違ってきます。そのため、開業スケジュールをうまくハンドリングできないことや、内装設計や採用計画について院長先生から聞かれてその都度調べるということもあります。
・融資関係を含めたお金の部分をどこまで把握しているか
一般的なサラリーマンの場合、融資を受ける経験は住宅ローン程度に限られるケースがほとんどで、事業立ち上げ時の融資の流れやポイントを把握しているかが重要です。また経営経験が乏しい人も多く、税務や資金繰りといった分野に弱い経営コンサルタントが多いです。
・複数の開業支援経験があるか
1つの事例だけでは経験が豊富とは言えません。複数の事例を経験することで、さまざまなケースを把握していることが重要です。そのため、開業支援を依頼する際は、依頼先の実績や支援内容を事前に確認し、慎重に選定することが求められます。
また獣医師の方が開業支援を行うケースもありますが、あくまでも経営と臨床は別物です。そのため、その方の経営面での知見や実績なども事前にしっかり把握する必要があるでしょう。
動物病院業界でも経営コンサルティングを依頼することは今後増加していくと予想されます。現時点ではまだ業界全体が飽和していないので問題ありませんが、近い将来開業数が増加し、1院あたりの収益が厳しくなってきます。
そうした時代の変化を見据え、院長主導で中長期的な戦略を描き、将来的な売却や事業継承も視野に入れた基盤作りを行うことが重要です。そのための外部支援として、経営コンサルティングを活用する選択も一つと言えるでしょう。
執筆者
株式会社ねこのタミ 代表取締役 辻建三
実際に動物病院の開業を経験したことで、無駄のないセンターピンをおさえたリアリティのあるアドバイスを実施します。
動物病院の経営コンサルティング経験を生かし、開業後に持続的に飼い主様に選ばれ続ける病院作りを見据えた開業を体制を構築していきます。
また、ゴールが「開業」ではなく、「開業後しっかり繁盛するか」に定めており、黒字化するまでサポートを実施しています。
医療関係者とは500件以上接点があり、医療関係のセミナーを10年以上計100件以上
コンサルティング実施先は約80~100社
評価構築サポート 100社以上
EDUWARD Press 執筆
パナソニック株式会社 執筆


