動物病院業界の経営コンサルティング会社は、いくつかあります。弊社も元経営コンサルティング会社で動物病院を担当していたので、経営コンサルティング業界についてある程度理解があります。そのため、本日は動物病院における経営コンサルティングについてお話致します。
■どういったサービスを実施するのか
マーケティング・マネージメント両方を提供することが多いです。
動物病院のコンサルティングでは色々と事柄が繋がっているケースも多いので、一部分だけのお手伝いというのではあまりコミット出来ないこともあります。
マーケティングですと、集患・客単価アップ・効率化のお手伝いがメインでしょう。
マネージメントですと、スタッフの採用・教育などがメインになってきます。コンサルタントによっては個人面談やミーティングを実施するケースもあります。
■コンサルティング方法
会社・コンサルタントによってコンサルティング方法は異なりますが、基本月1回のお打ち合わせでそれ以外は常にメール・SNSでのやりとり、タスク消化といった流れが多いです。コロナが流行する前までは現地での打ち合わせが多かったですが、今ではズームなどによるオンラインでの打ち合わせも主流になってきています。そして、現地にコンサルタントが訪問して実施する場合とオンラインでのコンサルティングで質が変わるかと言うと、そうでもありません。ある程度実施項目が決まっていれば、むしろ後者方が効率的だったりもします。とはいえ、直接面会して対話した方が話がしやすいという方の場合は、直接の対面型がマッチしているかもしれません。
現地でのコンサルティングの場合、院内のスタッフミーティングに参加する場合などもあります。コンサルタントが参加することによって結果が大きく変化するかといったらそうでもありません。
ミーティングも含めたコンサルティングと先生とWEBだけでお手伝いしているコンサルティングの業績の前年からの伸び率を見ても然程変わらなかったのも事実です。つまり、WEBで先生だけのお打ち合わせでこと足りるケースも多いです。
ただし、コンサルタントという第三者から伝えた方がスタッフに伝わりやすいというお考えの方であれば、スタッフミーティング参加型のスタイルも有効でしょう。
■選ぶ基準(会社)
コンサルティング会社を選ぶのなら獣医師が個人で実施している方などではなく、経営コンサルティング会社に依頼する方がベターだと考えています。経営コンサルティングには一概に臨床の知識が必要ではありません。それよりも先生方がわからない領域(マーケティングやマネージメント)をカバーできることが大事です。
そして、経営コンサルティング会社でもやはり動物病院業界に詳しい方がベターです。動物病院業界ならではの業績の上げ方や採用方法などがあるため、精通している方がコミットできるかと思います。
■選ぶ基準(担当者)
会社選びも勿論ですが、専門特化しているコンサルティング会社は担当する人の能力に依存します。そのため、担当者の見極めも大事になってきます。
・質問に対する返答の早さ・質
レスが早いかどうかは大事です。コンサルタントは忙しいから仕方ないと思われる方も多いかと思いますが、そうではありません。私も経営コンサルティング時代最大26社担当し、他にも業務をしていましたが、お客様へのレスは当日必ず返していましたし、返せるキャパもありました。
レスが遅いと思ったら会社または担当者を変えてもらった方がいいです。勿論、働き方などの尊重も必要ですが、平日に明らかに返事が遅い場合は疑った方がいいでしょう。
また、質問に対して的を得ていない答えをするコンサルタントもいます。度々このようなことが起きるようであれば、担当者変更も視野に入れてもいいかと思います。
・モチベーションをあげられるか
先生のモチベーションを上げることができるコンサルタントであることも大事です。
ただ何かを代行するのがコンサルタントではありません。「しっかりとその先を見せれるか」が重要です。先生が5年後・10年後の理想の姿をいち早く実現し、そして、新たな目標を見せられるかが大事です。
・スピードを調整できるか
先生ごとにコンサルティングのスピードを調整できるかも大事です。これに関しては担当者の地頭にも関わってきます。先生がちょうど良いスピードで物事を進めていくのもコンサルタントの仕事になってきます。
・提案に偏りがないか
コンサルタントには個々人の得意領域があります。その領域で先生方に成果を提供することはもちろん大切ですが、得意領域の幅が狭い場合は、先生への提案に偏りがでることもあるでしょう。コンサルタントに何を求めているかは、先生によって異なると思いますが、病院の将来を見据えて中期的にサポートしてほしいというご希望があれば、できるだけ幅広い分野で対応できる担当者やコンサルティング会社であるほうがよいでしょう。
担当者とは相性が非常に重要です。話していてストレスが溜まるだとか意思疎通がうまく取れないといったケースだとコンサルティングがうまくいっていないことを意味しています。実際、コンサル側も合う合わないを感じ取れています。そして、その場合でコンサルティングを続けていても大抵うまくいきません。
■コンサルティング費用について
コンサルティング費用に関しては会社によって異なってきますが、月20万円〜30万円の幅が多いです。費用に関しては、内容などによって異なってくるかと思います。
一見、費用が高いように感じる方もおられるかと思います。業績をあげられる、つまりマーケティングがしっかりできるコンサルタントであれば費用対効果は合いますが、そうでない場合は損をしてしまう可能性もあります。
動物病院は、やれば伸びる業界ではあるので、実際、コンサルティングをして伸びるケースがほとんどだと思われます。
■コンサルタントを入れるべきか
クリニックの売上の大小に関わらず導入した方がいいかと思います。
年商が3千〜7千万円規模であれば、マーケティングを適切に実施すれば高い短期間に高確率で売上が向上につながるといえます。
また年商1億円前後と規模が大きいところは、採用を含めたマネージメントで悩まれるかと思います。マネージメントの領域は繊細なやりとりが必要な分野です。ご自身だけではなく、プロの第三者のノウハウが非常に役立ちます。全てを自分自身で解決しようとせず、プロに相談しましょう。
セミナーなどで内容を聞いて、ご自身で出来る方であればコンサルタントをいれなくても良いと思いますが、時間的な余裕や完成度などを踏まえると厳しくなってくるのも事実です。
院長先生ご自身の忙しさや状況なども踏まえ、コンサルタントを入れるか入れないかを総合的に判断するといいでしょう。