動物病院の開業において、まず重要になってくるのは、「如何に集客体制を構築していくか」です。
開業したものはいいものの、飼い主様が来院してくれないというケースもよくあります。その結果、初年度の売上が2千万円〜3千万円の着地になってしまうことも多いです。場合によってはそれ以下になる可能性も大いにあります。
それであれば、何のために開業したかわかりません。
そのため、まずアポイントを埋めることに集中しましょう。
この集患体制によっては、開業初年度に5千万円〜6千万円まで達成できる可能性があります。そして、これは開業後ではなく、開業前からしっかりと事前に準備していくことが望ましいです。
~新患の目安~
まず1ドクターで月どれぐらいの新患がいいか?
月50件あれば優秀です。それ以下であれば、更に集患体制を構築しないといけないということになります。
ただ動物病院業界はまだまだ集患できやすい体制にありますので、現時点ではこの数は難しくはありません。
~集客方法~
今回は新患を得るための投資・方法をお伝えします。
・看板広告
看板なども集患などの一つですが、そこまでわかりにくい立地ではない限り、敷地内だけでも十分です。
・チラシ販促
チラシ販促は何度か実施していくのが望ましいです。そのエリアで情報誌なども影響力があれば、開業時または開業すぐは実施してもいいかと思います。
※開業後早く認知してもらうためには内覧会告知チラシ以外にも一度は実施するといいと思います。
その後の定期的な配布は既存のクライアント以外には必要ないです。
・WEB広告
現状、ほとんどの集客がWEBです。以前はこのWEBからの集客比率も低かったのですが、今では新患のほとんどがWEBからになります。それは動物病院に限らず、他の多くの業界でもそうなっています。
広告に関しては、立地にもよりますが、最低5万円〜程からはじめてみてもいいかと思います。ただ競合性が高くなると、更に金額を増やさなければいけないです。
月5万円〜10万円程広告をかけて効果はあるのか?
動物病院業界はクリニック単価が低い分、費用対効果が高いと言えます。そのため、広告は積極的にすべきです。ただ設定の仕方を間違えると効果が薄まりますのでお気をつけください。
WEB広告のポイントをお伝えします。
■キーワード
一般集患では「エリア×動物病院」でかけるのがいいです、また「犬×動物病院」などのキーワードのかけ方も同時にしていきましょう。また主訴別で集患したい場合は、「犬×症状」などでかけていくことが重要です。
■エリア
一般集患であれば、通常の商圏範囲(車で15分)などを加味して設定するのがいいかと思います。
また、主訴で呼びたい時は更に広い範囲でも問題ないかと思います。目安ではありますが車で30分程の設定で問題ないかと思います。ただこちらは病院がある場所によって変わってきます。
■金額
動物病院業界は単価がまだ安いので、月々の広告料も抑えられます。ただそれでも月5万円は予算が必要になってきます。様々な主訴で呼ぼうと思うと、月10万円〜30万円は必要になってきます。
そして、飛ぶ先(HPまたはLP)のコンテンツがいまいちであれば、反響は落ちます。つまり、広告をかけたらいいというわけではなく、飛ぶ先も需要になってきます。
※開業時・開業後には営業の電話が多くかかってきます。その際「グーグルです」のような名乗り方をしますが、代理店またはただただ広告の代行会社です。そして、内容としてはグーグル広告の代理またはマップの撮影などの最適化です。開業時は数十件かかってきますが、すべて断った方がいいでしょう。あくまでもご自身で良い会社を選定するべきです。
・ポータルサイト
これから開業する方は自社サイト以外にもポータルサイトを活用した方がいいでしょう。
ただポータルサイトも多く存在します。
正直、全部は必要ありません。有料で契約するのは、メジャーなポータルサイト1社程度で大丈夫です。勿論、無料範囲の掲載であれば複数掲載しても大丈夫です。
ポータルサイトにもよりますが、月数万の料金が発生します。ただ開業すぐは空きアポを如何に減らすかが大事ですので、反響あるポータルサイトは有料でも実施した方がいいでしょう。
仮に月2万だとして、そこからの来院が5件来たとします。そうなると、1件あたりのコストが4千円になります。さらに継続来院してくれれば、プラスに転じてくれるという流れとなります。
ただポータルサイト内でも反響がある病院、反響ない病院が存在します。
その時、大事なのが掲載順位です。こちらはポータルサイトにもよってきますが、多くは下記2点を強化していくといいです。
■口コミ
ポータルサイト内の口コミは大事になってきます。ただポータルサイトによっては口コミの制限が多かったりして、飼い主様からもらうのが大変だったりもします。ただ口コミは反響に大きく影響するので、良いことに越したことはありません。
■情報
情報量も大事です。何の診療が出来て、どんな機材があるかなども大事です。また写真も大事になってきますので、飼い主様が来たいなと思わせるようにしないといけません。
ではアポイントが安定してきたら有料会員をやめるべきなのか?
と疑問を抱く方もおられるかと思います。
結論、予約をずっと断っているのならやめましょう。
そうでなければ、多少忙しくとも実施すべきだと思います。
ただただ有料にしたからいいってわけではないので、しっかり効果測定もしていきましょう。
その他にも紹介などもありますが、開業すぐに紹介は少ないので、こちら飼い主様の満足度を高めたのちに紹介をしてもらえるような体制を構築するといいです。
どこから来院したか反響をみることも大事です。そのため、問診票に来院のきっかけの欄を作成しましょう。
・マップ・MEO
動物病院での集客において、HPの上位表示(SEO)以外に大事になってくるのがMEO(マップ)です。このMEOが上位表示されればされる程、新患が増えていきます。そのため、MEOはSEOと同様に対策することが大事です。最近ではマップのみで検索される方もおられます。そのため、MEOも上位表示していくことが大切です。
例えば、あたなの開業予定または既に開業しているところの「立地+動物病院」で検索してみてください。そうすると、上位3件がマップ上に表示されるかと思います。この上位表示に如何に入るかが重要です。本日はそのポイントをお伝え致します。
※ただこちらは検索した時の場所などによっても変わってきます。
※病院名に地域がある場合は上位表示される傾向にあります。
MEOの対策については下記項目を実施するといいです。
①基本情報の記入
基本情報の項目で記入できるモノは全て記入しましょう。情報が豊富な方が上位表示されやすいのと、クリックも増えていく傾向にあります。写真などをアップすると顕著にクリニックが上がるので、試してみるといいです。病院内の雰囲気だけでなく、機材なども積極的に載せていきましょう。
②投稿機能
マイビジネスには投稿機能があります。それを定期的に投稿することでアクセスが増えます。イベントや病気の啓蒙などを投稿する病院も多いです。
③SEOをあげる
オーガニック検索が上位表示されていることで、MEOにも関係してくると言われております。どちらにしろSEOが高いに越したことはないです。そのため、SEO・MEO両方とも意識していきましょう。
④口コミ
最後に口コミです。この点で気になっている方も多いので、詳しく説明していきます。
動物病院業界は他の医療業界よりも口コミを書かれるケースが多いです。
そして、口コミで悩まされている動物病院のお声をよくお聞きします。中には事実と異なるという点で悩まれ、弁護士などに相談する方もいます。
ただ正しい意見もあるので、真摯に受け止めて、より病院を良くしていく取り組みが大事になってきます。
勿論、悪い口コミにも傾向があり、それをしっかり対策することで良くなることが大事です。
よくある悪い口コミが下記のような内容です。
①料金が高い
競合と変わらない金額でも書かれている場合は、動物病院側の情報提供の問題が大きいと思います。「なぜこの治療にこれだけの金額がかかるか」を伝えるだけでも理解を得られるケースも多いかと思います。
そのため、このような問題は価格を変更するのではなく、説明方法を変えていくのが望ましいです。
②待ち時間が長い
こちらは診療効率化などで改善していくことが望ましいです。また事前に「どれぐらいの待ち時間が発生するか」をお伝えするだけでも緩和されるかと思います。また予約制などの導入も待ち時間改善に繋がります。
③医療ミスだと言われる
これに関しては誤解の部分が大きいケースが多いです。こちらは獣医師並びに動物看護師からしっかりと説明するのが重要です。カウンセリングがしっかりされている病院ですと、ここら辺は大きく改善されています。
④接遇が悪い
これは事実であることが多いので、病院内のルールを徹底・改善していくことが望ましいです。場合によっては、接遇だけで研修やミーティングを実施した方がいいです。
まずは良い口コミだろうが、悪い口コミだろうが、ご自身の言葉で返信しましょう。もし事実と異なるのなら、その旨も伝えるといいと思います。ただ言い争うようなことにはならないようにするのが望ましいです。
口コミは悪い印象の時に書かれやすいので、仕方ない部分もありますが、口コミをしっかり現場で共有し、改善していきましょう。なかなか改善しないと、更に似たような悪い口コミが投稿されるケースも大いにあります。
特に初診の方が悪い口コミをかく傾向にあります。そのため、「初診の対応をどうしていくか」が大事になってきます。
良い診療をしていると必然的に良い口コミも増えていくのも事実です。
そして、口コミが良い点数の方がアクセスが増えます。同時に上位表示される可能性が高まります。そのため、この口コミの状況も重要になってきます。動物病院は口コミを促進しなくとも書いてくれる環境ではありますが、飼い主アンケートと同時に評価をもらうといいでしょう。
また、口コミには返信しましょう。もし評価が悪く、事実と違う場合は、認識に違いがある旨を伝えましょう。決して言い争いにならないようにお気を付け下さい。また誹謗中傷であれば、「報告」することで消える可能性もあります。中には弁護士に相談される方もおられます。
是非、どんどん良い口コミが入るような動物病院経営を実施していって下さい。この口コミが新患の多さに比例していくので、大事にしてください。
このMEOは集患に対して非常に大事です。
そして対策することでわかりやすく効果があらわれてきます。
~新患が増えてくると~
順当にいけば、集患も出来、診療が忙しくなっていくかと思います。
そうなると、忙しいのに、思ったより年商がいかないといったケースに陥ることが多いです。
実際、多くの動物病院様でこのようなお悩みを聞く機会があります。勿論、忙しい=集客ができているという見方もできるので、良い悩みの側面もあります。ただそれに伴い、収益が上がらないというのでは、経営的には良くはないです。
そこで大事なのが、「単価」と「固定化」です。
ただただ集患してそれで終わりになってしまってはいけません。大事なのはその後の健康診断を含めた継続来院です。それが結果的に単価アップにも繋がってきます。
つまり、一番良いのはただ集患するだけでなく、固定化と単価アップを視野に入れて経営することです。
このように事前に全て整えておくことで、開業後すぐに良いスタートダッシュがきれると思います。開業後に色々と準備するとなると、それだけ時間もかかりますし、現場が忙しければ、取り組む時間もなかったりもします。そのため、時間がある間に全て整えておきましょう。