動物病院を開業する際、全て自己資金で対応するケースはほとんど少ないと思います。
そのため、ある一定の金額は借入をすると思われますが、その際のポイントを説明させて頂きます。
まずは借入する前に整理しておいた方がいい資料を記載いたします。
~借入の際に用意した方がいい資料~
■用意しておいた方がいい資料
・賃貸借契約書 ※不動産を既に見つけている場合
・免許証
・住宅ローン書類一式・返済計画書 ※購入されている場合
・定款 ※会社を設立している場合
・確定申告書3期分
・固定資産税納税通知書(自宅、不動産投資分など)
・借入申込書 ※金融機関によって変わってきます
・事業計画書
・3ヶ年シミュレーションなど
場合によっては、一部資料として不用なケースもあるので、目安で留めておいて頂くといいです。こちらは金融機関によって変わってくる可能性もあるので、事前に担当者に確認するといいです。
~動物病院の借入の際に準備しておく事業計画書~
動物病院を開業される際、事業計画書を作成した方がいいでしょう。それは借入だけでなく、開業後の計画にも繋がってきます。
・何故事業計画書が必要なのか?
先程お伝えした通り、まずは借入の際はあった方がいいです。ただそれだけでなく、自身の頭の中の整理にも繋がってきます。1年後とかだけでなく、中長期的なプランを立てることで、目標も達成しやすくなります。
・事業計画書に記載する内容
■業界の流れ
金融機関の担当者にとっては動物病院業界を知らない方もおられるので、業界がどのように進んでいるか記載しておくといいです。またご自身の整理にも繋がってきます。
■ご自身の略歴
今までのご自身の経歴も書いておきましょう。金融機関はその人の信用度なども大事になってきます。職歴・学位・得意科目などご自身の経験を書くといいです。
■事業構想
一概に事業構想と言っても多岐にわたります。コンセプト、事業内容、オペレーション、戦略、戦術など大きなことから細かいことまで落とし込んでいきます。ご自身の「想い」の部分も大事になってきますので、それもしっかりと整理するといいです。
■3ヶ年シミュレーション
開業当初はキャッシュフローが大事です。この部分は金融機関も大事にしています。またこのシミュレーションは絵に描いた餅になってはいけません。あくまでも最低でも達成できるリアルな数値計画でないといけません。このシミュレーションをたてるだけでもご自身の頭の整理に繋がると思います。
■商圏調査
病院を出す立地に対して商圏調査をしましょう。これは専用のソフトで出すので、外注するのがいいでしょう。商圏調査によって、その立地の人口、世帯数、年齢、年収などを把握できます。商圏範囲は郊外であれば、車で15分、都心であれば、車で10分で大丈夫かと思います。
また、外注が難しい場合はWEB上でひろえる情報を整理しましょう。
その立地の良し悪しで成功するか決まってくるので、この部分は大事になってきます。
■競合調査
競合を知ることは大事です。診療時間、休診日、診療科目、設備、WEBサイト、価格、採用条件などの競合情報を知ることで、自分の病院はどういう戦略でいくかの参考になります。
事業計画書を制作することで、事業構想がどんどん改良されるケースもあります。
今後の開業を真剣に考える上でも事業計画書は制作していくべきでしょう。
事業計画書を本格的に制作すると、かなりの時間がかかります。時間に余裕がない場合は外部への協力も視野に入れましょう。
~動物病院の主な借入先~
次に金融機関についてお伝えします。
・日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府が出資している金融機関であり、動物病院を開業する際は借入を申し込むケースが多いです。可能な限り日本政策金融公庫で借入するのがいいです。約2〜3週間で融資がおりるので、他の金融機関よりも早いです。
・地方銀行
店舗を構える予定の場所にある地方銀行を選ぶのがいいでしょう。また、従業員はその立地の近くに住んでいる人のケースが多いため、従業員が使いやすい銀行を選択した方がいいということになります。そのため、法人口座も同時に作る流れとなります。約1ヶ月〜1ヶ月半ぐらいで融資がおります。
都道府県での融資制度などもあり、それを活用することで金利を抑えられるケースもあります。まずは法人の融資担当の方と打ち合わせの上、判断していくのがいいでしょう。そして、可能であれば、事前にアポイントを取ってから訪問するといいです。
リース会社などのノンバンクから借入するケースもありますが、金利が高くなることが多いです。
そして、どれだけ返済期間を長くできるかも大事です。一番良くないのはCFが回らなくなり、廃業などに追い込まれるケースです。そのため、常に運転資金も視野に入れ、CFが回る経営をされるのがいいです。
ただ多めに借りればそれでいいという訳ではありません。たくさん借りれば借りる程、返済額が大変になってきます。そのため、ここら辺もしっかりとシミュレーションしていくのがいいです。
最初から全て良い機材を集めようなど考えるとこの借入の金額も膨らむので、中古なども視野に入れて見積もりを取った方が良いです。なるべく抑える所は抑えていくのが大事になってきます。また、獣医師資格がなかったり、業界未経験の方となると借入が難しくなります。もし未経験の方であれば、それに対してどう知識・知見をつけてきたかが大事です。また金融機関での滞納など個人の部分も見られるので、お気をつけ下さい。
事前に準備できるモノはいまのうちから是非、準備してみてください。