従業員にどのように伝えるかも重要です。ただ「業績・生産性を上げろ」と伝えても嫌らしく伝わったり、方法がわからなかったりします。つまり、逆効果になる可能性もあります。伝える数値に関しても予め選択しておき、その数値をどうしていくかを全体で話し合うと良いと思います。例えば、新患が少ないのなら、どう集患するのか、どのようにアポイントを取っていくのが良いのかを決めていくと良いでしょう。
しっかりと数値を追っていき、前年以上のパフォーマンスと業績を上げていくことが大切です。
~開業すぐの生産性~
動物病院の開業において何が成功かの判断は難しいですが、数値の側面は一つの判断材料となります。
開業からずっとうまく業績が上がっている病院は初月から業績がいいです。
総売上:150万以上 / 月
延べ患者数:200件以上 / 月
※月の途中で開業した方などは開業日から30日間の間の診療日または2ヶ月目で捉えるといいです。
※ただこれはあくまでも理想値なので、月売上が100万円を越したらスタートダッシュがすごくいいとも言えます。
これを初月または2ヶ月目で達成できたら、更に伸びていく可能性は高いです。また一見、客単価が低いと考えられる方もおられますが、こちらは1年を通して、徐々に高まっていく、もしくは高めていく流れで大丈夫です。まずは単価よりも件数を意識しましょう。
また、半年後には月売上500万以上を達成するのを目指すといいです。こちらはあくまでもワンドクターの話で、獣医師を増やすなら目標はもっと高めに設定しなければいけません。
そして、開業から業績が高い病院は総じて新患数が多いです。中には開業から半年が経っても月100件以上の新患を獲得している病院もあります。
それは前準備を如何にしてきたかが大きいかと思います。開業前からしっかり良いサイトを構築し、開業後はSEO(上位表示)をあげ、合わせて広告も実施していく流れが大事です。開業してすぐは特に新患にどんどん費用を投資していく考えが重要です。
※少なからず月50件~60件の新患はいた方が望ましいでしょう。
~動物病院での成長段階~
動物病院を開業した初年度の年商は2千万円~3千万円になることが多いです。
それが悪いというわけではありません。ただ開業前からしっかりとマーケティング施策をしていくことで、初年度から年商5千万円~6千万円まで達することができます。
そして、特に開業初年度は一つの基準となるため、如何に伸ばしていくかが大事になってきます。
次に開業後はどのように成長していかなればいけないかをお伝え致します。
毎年前年比から成長していかなければいけません。規模にもよりますが、元々年商1億以下であれば、前年比から10%~20%の成長が必要です。元々1億以上の年商であれば、前年比から5%~10%は成長することが大事になってきます。ただリニューアル・移転など大きな拡張がある場合は、その規模の拡大に応じて、成長していかなければいけません。
※年商2億以上であれば、前年比は1%~5%が多くなってくるかと思います。
そして、診療室が広い・人数が多いだけでは駄目です。大事なのは、「生産性が高いかどうか」です。そのためには、単純に年商だけの判断では不十分です。つまり、箱・規模が大きいのに、それに伴った売上を残せてないといったケースは往々にしてあります。そのため、診察台1台当たり、獣医師1人当たり、従業員1人当たりの生産性の観点を持つと良いでしょう。
診察台1台当たり:7千万円 / 年
獣医師1人当たり生産性(院長除く):5千万円 / 年
従業員1人当たり生産性:2千万円 / 年
また、日本人はあまり時間生産性で捉える傾向になりですが、1時間当たりの売上を意識すると、生産性は上がっていく傾向にあります。もっと分解していくと、「1時間あたりに何件対応できるか」という話にもなります。
また、成功している病院は目標設定・管理をしっかりされています。
中には現状の売上を知らないし、よくわからないといった人もいます。このような曖昧な把握はダメです。常に先月よりどうだったか、前年よりもどうだったかを把握することが大事になってきます。
まずは少しずつ数値を把握していき、そこから目標を設定していくことが重要です。
実際に計画を描いた方が達成する見込みが高まります。そして、是正するポイントもわかってきます。
いつかは良くなるという発想ではなく、自らどんどん仕掛けていくことが重要です。