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動物病院経営における予防・健康診断

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動物病院の健康診断

動物病院はフィラリア予防、健康診断があることから季節によって業績が大きく変わってきます。特に5月、6月の件数、売上ともに他の月よりも多い傾向にあります。動物病院業界にとってこの時期が繁忙期と言えます。これは既に勤務されている方はご存知かと思います。

そして、これから動物病院を開業される方も既に動物病院を経営されてる方もメニュー・販促をどうするか悩まれる方も多いかと思います。

本日は予防・健康診断のポイントをお伝えします。

 

~予防・健康診断の販促~

①フィラリア予防だけでなく、如何に健康診断を販促できるか
フィラリア予防も大事ではありますが、毎年健康診断を受けてもらう体制を構築する必要があります。こちらはしっかりカウンセリングをすることで健康診断受診率が大幅に上がります。その結果、客単価も同時に上がってきます。勿論、受診を促すことで、未病・予防という部分が強化されます。そして、このカウンセリングは動物看護師が実施していきましょう。

②通年予防
単発だけでなく、ノミダニの通年予防も促進しましょう。通年予防の考えも少しずつ浸透していき、シーズンのみの来院ケース以外にも徐々に増えているのも事実です。しかし、これは特定の動物病院のみで、しっかりと情報提供していないところは未だに1カルテあたりの年間来院回数も低い状況です。

③3月、4月に前倒し
どうしても繁忙期に対応すると診療が煩雑になったり、一般の診療が入らなかったりします。そのため、どんどん前倒しで実施していくことが望ましいでしょう。

④年齢に合わせたメニューの選択の促進
年齢に合わせてメニューを設定している病院も多いかと思いますが、実際の年齢と受診するコースがリンクしていない病院も多いです。「去年と同じ内容で」と飼い主様から言われるケースも多いと思います。その際、しっかり年齢とそのコースの説明を実施し、年相応のコースを受診してもらいましょう。

下記にトーク例を記載します。

「我々の病院では、未病・予防の考えを大事にしています。そのため、春、秋の年2回の健康診断を設けております。わんちゃんは人間よりも早いスピードで歳をとります。去年は元気だったけど、今年に入り、急に体調が悪くなるケースもあります。そのため、その子の状況にあわせて検査・診断を実施することを推奨しております。実際、年齢に応じて、かかりやすい疾患が変わってきます。また年齢を重ねることで、病気になってしまう可能性も高まってきます。そのため、当院では、基本的に年齢に応じて健康診断のコースを受診して頂いています。~ちゃんは今~歳ですので、検査項目は~を受けた方がいいです。是非、こちらのコースを受けて頂きたいのですが、如何でしょうか?

例えば、今まで年齢に合わせた健康診断を受けていないパターンは、下記のように説明しましょう。

~ちゃんと同じ年齢で~の疾患が見つかるケースが多いため、当院では、年齢に応じて項目を設定し、推進しております。

⑤はがき、DM
DMなどをこだわって制作する病院もありますが、はがきでも十分かと思います。大事なのは院内のオペレーションです。

⑥動物看護師の活躍
健康診断のカウンセリングの大部分を動物看護師に任せましょう。そうすることで診療効率化にもつながります。どの部分をどう分担するかはしっかり院内で決めましょう。

〜キャンペーンはするべきか?~
動物病院ではよくキャンペーンを目にするかと思います。実際に販促しているという人もいるでしょう。その中でも特に多いのは春の健康診断キャンペーンかと思います。

それが正しいかどうかはその人個人の裁量になってきます。
まずはメリット・デメリットを踏まえ実施することが望ましいです。

メリット
・訴求しやすい
・受診数が一時的に増える
・2ヶ月間で大きな売上をつくれる
・飼い主様が安く受診できる

デメリット
・一度始めるとやめる時が苦労する・やめられない
・キャンペーン以外では受診してくれない
・医療行為に対してキャンペーンで違和感を抱く
・繁忙期ができてしまう
・利益率が下がる

勿論、キャンペーンでのメリットもあるかと思います。
ただ結論から申し上げると、キャンペーンを使わず予防などの受診数を最大化させていくことが望ましいです。
そもそも医療行為に対して大幅なキャンペーンを実施するのは、何か変な感情を抱く方もいると思います。

また、キャンペーンに依存し過ぎて、キャンペーン以外では受診していないケースがほとんどです。キャンペーンだから実施してもらうという体制では、いつまで経っても飼い主様のQOLは上がりにくいと思われます。
※しっかりカウンセリングが出来ているのなら別です。

そして、毎年キャンペーンに追われている病院もあります。
そうなると本末転倒です。
毎年受診数だけを追うようになります。その結果、売り込みが強くなったり、飼い主様へのアフターカウンセリングなどを怠ったりしてしまいます。

つまり、本質の「大切だから受けて欲しい」「早期発見のため」「未病のため」という部分が欠如してしまいます。
そのため、キャンペーンというやり方自体を変えるべきです。

~脱キャンペーンの取り組み~
脱キャンペーンのための実施方法はいくつかあるかと思いますが、一例を載せておきます。

①会員制
会員制を導入することで、飼い主様の固定化にも繋がります。また、制度を設けることで、他に移る可能性が下がります。会員の価格、非会員の価格で選別すれば問題ありません。

②低単価
キャンペーンをするぐらいであれば、最初から低価格で数を最大化させることに注力すべきです。そうすることで、年2回の健康診断受診も増加します。ただ極端に安くするのではなく、あくまでも適切な価格の範囲で抑えましょう。

③カウンセリング
キャンペーンや低価格で訴求するのは簡単です。それだけでなく、カウンセリングで成約していくことが大事です。普段の診療で忙しいという理由で出来ないのであれば、出来るようになるオペレーションに変更すべきです。

④予約制
カウンセリング後はしっかり予約を取りましょう。その際は、繁忙期をずらして受診などを促すといいです。

 

これは今実施されているどんなキャンペーン(フードや歯科処置など)などでも同様のことが言えます。

春の売上は動物病院にとって大きいです。そのため、しっかり病院内で内容を決めていきましょう。
是非、ご参考にして頂き、春のオペレーションに役立てて下さい。