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動物病院を開業した上でお伝えできること

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動物病院開業

動物病院を開業されたい方の多くは様々な不安を抱えられているかと思います。
実際に開業の経験をお伝えすることで、少しでもその不安が払拭出来たら幸いです。ただ敢えて良いことだけを書き留めず、大変だった部分もお伝えし、より開業に対して理解を深めて頂きたいと考えています。

 

〜なぜ開業に至ったか〜
まず、「なぜ開業に至ったか」を簡単にお伝えします。私は元々経営コンサルティング会社で動物病院を含む医療系のクライアントを担当していました。
その際、
「こうしたらもっとうまくいく」
「こうあるべきだ」
と提言するも、実際、現場が実行に至らなかったり、そこまでスピーディーに動いてくれないということが多々ありました。そんな状況において、このまま動物病院の経営コンサルタントを続けていても、いつまで経っても業界に対するインパクトもなければ、業界自体を変えることは難しいという思いに至りました。他にも理由はありますが、自身で業界を良くしていきたい想いから動物病院を開業する運びとなりました。経営に関するノウハウがある分、開業は簡単かと考えていましたが、実際にはそう簡単にはことが運びませんでした。

 

〜開業までの流れ〜
ここからは、実例をもとにお話し致します。
下記が私自身も経験した動物病院を開業するまでの実際の流れになります。
①コンセプト・事業内容構築
②立地選定
③施工・機器業者打ち合わせ
④借入
⑤採用活動
⑥WEB制作依頼
⑦院内オペレーション構築・各種契約
⑧各種備品購入
⑨開設届等の申請
⑩内覧会

ざっくりではありますが、こちらが大まかな流れになっています。勿論、同時並行で行うことも多く、流動的な部分もあります。例えば、借入を起こす際、事前に設備投資にいくら掛かるか明示が必要です。そのため、借入前に事前に施工会社、機器ディーラーの打ち合わせ並びに見積りが必要だったりします。
またホームページやチラシなどの制作物の依頼関係などは時間がかかるケースも多いので、立地が決まった段階と同時に依頼してしまうのがいいです。
期間としては6ヶ月〜8ヶ月ぐらいの準備期間です。物件が決まると必然的に開業する月が決まるような形になります。

開業の工程をすべて説明するのは難しいので、特に苦労した部分についてお伝えします。

~動物病院にまつわるお金~
まず、すぐに直面する問題が「お金」です。何の商売を始めようと、元手は必要になってきます。動物病院を開業する際は想像以上に、自己資金・初期費用が掛かってきます。
資本金としてある程度は用意していましたが、すぐに全然足りない状況に陥りました。家賃が高いところを借りたことや少し備品を先に買ったこともありますが、借入までに約600万円程掛かってしまいました。そして、その内のほとんどが不動産に対する支払いです。施工期間中の空家賃も発生することもあり、初期契約費+何ヶ月間分の空家賃は額としてかなり大きな出費になります。
つまり、皆様が想像しているよりも初期にお金が飛んでいきます。私の場合、家賃が少し高いところを選んだため高くなりましたが、通常の家賃でも300万〜400万は掛かる可能性はあります。
また、借入が簡単に済めばすんなりいけますが、借入に時間が掛かることは精神的ストレスにもなってきます。何社も金融機関と打ち合わせしたこともあり、この点は非常に苦労しました。

 

~立地選定~
お金はあれば解決できるものですが、立地選定はそうはいきません。実際にご自身で色々と調べ、探していく必要があります。
私が実際に探した際の問い合わせ・内覧を下記に記載致します。

・問い合わせた不動産35社
 ※そのうち、動物病院のテナントを紹介してくれたの不動産会社は5社
・提示をもらったテナント数20件
 ※そのうち、内覧した数10件

これが立地選定に要した工数です。これでも端数は繰り下げての数になります。
つまり、立地選定が最も根気がいる作業になります。そして、この部分は業績に大きく影響するので、最も拘らないといけない部分でもあります。
勿論、早い段階で良い物件が見つかる可能性がありますが、物件を決めるのは慎重になった方がいいので、多方面からのアドバイスも頂くのがいいかと思います。

 

~開業することによるメリット~
ここまでを乗り越えられたら、後はスムーズにことが運んでいくのも事実です。私の場合、幸い、採用や業者さんには苦労しなかったので、上記2点のみが大きな負担だったと言えます。ただこれはその人の状況やタイミングによって、変わってくるかと思います。

苦労した分、やはりメリットも大きいので、その点もお伝えしていきます。

■ご自身のやりたい診療・目指す動物病院を作れます。
特に臨床を追及したい方などはご自身の実施したい内容・科目を強化できます。勤務医であれば、やはり経営者の意向が強いため、ご自身の目指したい診療が実現できないことがあります。この点は経営者の判断になるので、ご自身の理想とする動物病院の構築も可能です。

■収入があがる可能性があります。
動物病院の勤務医の給与水準はまだまだ低いです。そのため、開業した方が収入が上がるケースは大いにあるかと思います。
開業した直後にもし収入が下がったとしても、その後、しっかりマーケティングし、飼い主様に継続的に来院してもらうことで、業績も安定し、勤務医の給与よりも大幅に上げることもできるかと思います。つまり、ご自身が頑張った分、給与で還元されるということになります。この点はご自身のモチベーションにも繋がるかと思います。

■成長に繋がります。
起業をした人としていない人では成長の幅が違います。これは動物病院に限らず、すべての業種で同じことが言えます。
開業したことにより、未経験のことが色々と生じてくるかと思います。この経験や知見は大きな財産とも言えます。収入だとかも大切ですが、こちらが一番大きなメリットかと思います。

 

〜最後に〜
1人で新しいことを始めるとなると、やはり大変な側面も多いです。苦労や不安や心配事が大きくてなかなか開業に踏み出せない人も多いかと思います。
しかし、それを乗り越えられたら「開業して良かった」と思えるので、是非、頑張って頂けたらと思います。

そして、大事なのは「獣医師人生をどう歩んでいきたいか」です。
勿論、開業することが全てではないです。
ただ「開業したい」という気持ちが少しでもあるのであれば、人生1度きりなので、開業に向けて真剣に取り組んでいってください。
皆様の開業がうまくいくよう心よりお祈り申し上げます。