「昨日まで完食していたのに、今日は器のにおいを嗅いだだけで離れてしまう」
愛犬がドッグフードを食べないと、どこまで待っていいのか分からなくなりますよね。
食べない原因は、家庭で見直せるものと、動物病院で確かめたほうがよいものに分かれます。
まず見るのは、いつから食べていないかと、ほかに変わった様子がないかの2つです。
ここが分かれば、家で様子を見るのか、今日のうちに相談するのかを決められます。
- 原因を体・気持ちと環境・ごはん側に分けて見るコツ
- 何日食べなかったら動物病院に相談するか
- 1日に必要なカロリーと体型からの確かめ方
- 今日からできる対処の順番
編集部あわてて新しいフードを買いに行く前に、今の状態を落ち着いて見てみましょう。
犬がドッグフードを食べないとき、最初に分けること
犬がドッグフードを食べない原因は、食事管理で見直せるものと動物病院での確認が必要なものに分かれます。
分かれ目になるのは、いつから・どのくらい食べていないかと、食べない以外の変化があるかどうかです。
- いつから、どのくらい食べていないか
- 嘔吐や下痢はないか、水を飲めているか、元気と体重は変わらないか
- もともと食べていた量で足りていたのか
水も飲まない、ぐったりしている、嘔吐や下痢をくりかえすときは、家庭での工夫より先に動物病院へ相談してください。食欲以外にふだんと変わったところがなければ、ごはん側の見直しから始められます。
食欲や必要なカロリーには個体差があり、同じ体重でも1日に必要な量は犬ごとに違います。少し残すだけなら、足りていないとは限りません。
毎日の主食にあたるのは総合栄養食で、おやつ (間食)・療法食・一般食とは目的が違います。
犬がドッグフードを食べない6つの原因


原因は、体の問題・気持ちと環境の問題・ごはん側の問題の3方向に整理できます。見当がついても、食べない以外の変化があるなら家庭で様子を見続けないでください。
病気や口の痛みで食べられない
食事の工夫を試す前に、体の不調で食べられなくなっていないかを考えます。
胃腸や腎臓、膵臓の不調、腫瘍などが食欲に影響することがあります。歯周病や口内炎で口が痛み、「食べたいのに食べられない」状態になることもあります。
- 食べようとして粒をこぼす
- 片側の歯だけで噛んでいる
- 口のまわりを気にする、においが以前より強くなった
病名の特定と治療は動物病院の役割で、フードは治療の代わりにはなりません。療法食は獣医師の指導のもとで与えるものなので、自己判断で始めないでください。
歯みがきは子犬のうちから習慣にすると続けやすく、やり方は最初に獣医師へ教わります。歯垢や歯石を定期的にとってもらう方法もあります。
引っ越しや来客など生活環境の変化
暮らしが変わった時期と、食べなくなった時期が重なっていないかを先に確かめます。数日前までさかのぼって、思い当たることを書き出してみてください。
きっかけになりやすいのは、引っ越しや部屋の模様替え、来客、工事や雷の音。留守番の時間が変わったとき、家族や同居犬が増減したときにも食が細くなります。
食事の場所そのものが落ち着かないだけのこともあります。人の通り道の真ん中、床が滑る、ほかの犬とごはんの位置が近い、といった環境です。
整えば戻ることが多いのですが、数日続くときや、ほかの変化を伴うときは動物病院へ相談してください。
子犬の成長期が終わった・シニア期に入った
ライフステージの変わり目に食べる量が減るのは、自然なことです。子犬は1回に食べられる量が少ないため4回程度に分け、成犬は1日分を2回に分けて与えます。
成長が落ち着くと、体重あたりに必要なカロリーの係数が下がります。離乳期は274、成長中期は200、成犬期は132。同じ体重でも必要量は変わってきます。
シニア用のフードに変えるときは、慣れた食事に少しずつ混ぜて1〜2週間かけます。ただし子犬や高齢の犬、持病のある犬は、食べない時間が続くこと自体を軽く見ないでください。
味の強いものを覚えている・同じフードに飽きている
わがままと片づける前に、味の強いものを覚えていないかを見ます。塩分や脂肪含有量が高いものを覚えると、さらに味の強いフードを求めていく可能性があります。
犬が好む傾向があるのは鶏肉・牛肉・豚肉・羊肉、乳製品、卵、魚肉、果物、甘いものや塩辛いもの、焼いたものや蒸したものです。反対に、柑橘類やにおいの強い葉物野菜、香辛料、酢など酸味の強いものは嫌います。
味の強いフードばかりを長く続けると、栄養がかたより、体調にも響くことがあります。
かといって選り好みと決めつけて放置するのも避けてください。体の不調が隠れていることがあります。
運動量が足りていない・暑さで食欲が落ちている
消費が減れば、必要な量も減ります。散歩の距離や遊ぶ時間が減った時期、雨や猛暑で外に出ない日が続いた時期と、食べない時期が重なっていないかを見ます。
暑い季節は食が細くなりやすく、涼しい時間帯に食事をずらすだけで戻ることもあります。
ただし水を飲む量まで減っている、ぐったりしているときは暑さによる体調不良の可能性があり、家庭での工夫より受診が先です。
フードの香りが飛んでいる(保存と器の出しっぱなし)
ドライフードは器に出したままだと、時間とともに香りや食感が失われます。
開封後は袋の封をしっかり閉じて、直射日光の当たらない涼しい場所に常温で置いてください。冷蔵庫に入れると、出し入れのたびに表面が結露してカビなどの発生原因になることがあります。
器に出すのは少量ずつ。新しいものに取り替えるほうが香りを保てます。いったん口をつけたものは唾液がつき、有害な微生物が発生することがあります。
食べ残しはそのままにせず、片づけてしまいましょう。
何日食べなかったら動物病院へ?受診の目安


健康な犬でも、1〜2日食べない子はいます。ただし口をつけようともしないときは、病気の前ぶれと考えてよいとされています。環境省の『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』(平成21年10月 第二版) の記載です。
1〜2日という数字は安全の保証ではありません。日数だけで決めず、口をつけようとするかどうかで見ます。
| 愛犬のようす | 見るところ | 家庭でできること | 相談する目安 |
|---|---|---|---|
| 少しは口をつける・元気と水分はふだんどおり | 水・便・体重 | 量と回数を決め、器を出しっぱなしにしない | 2日たっても食べる量が戻らない |
| 口をつけようとしない・体重が落ちてきた | 体型 (BCS)・食べた量 | 記録をとり、食事の内容は変えずに保つ | 丸1日以上まったく口をつけない |
| 水も飲まない・ぐったり・嘔吐や下痢をくりかえす | 全身のようす | 家庭での工夫はいったん中断する | 日数を待たず、その日のうちに電話 |
子犬・高齢の犬・持病のある犬は、成犬と同じ日数で様子を見ずに早めに相談します。1回に食べられる量が少なく、食事の間隔が短いためです。
受診の前に、いつから・どのくらい食べていないかをメモしておくと話が早く進みます。



電話で相談するだけでも、待っていい状態かどうかの見当はつけてもらえます。
1〜2日食べないときに家庭で見ておくこと
ほかに変化がなく、口をつけて少しは食べているなら、1〜2日は落ち着いて様子を見られます。
- 水を飲めているか、減り方がいつもと違わないか
- 便と尿の回数・かたさ・色にいつもとの違いがないか
- 体重が落ちていないか、体型が変わっていないか
- 体温がふだんの範囲に収まっているか
1日に必要な水分量の目安は、フードから摂る分を含めて体重3kgで260mL、5kgで370mL、10kgで630mL、20kgで1,060mL、30kgで1,440mLです。
犬の正常体温は38.0〜39.0℃です。測るのは無理のない範囲でかまわず、嫌がるなら水・便・体重の変化で判断します。
飲み水は器に入れた量を量っておくと、減り方の違いが分かります。
日数を待たずに動物病院へ相談したいサイン
食べない以外の変化があるときは、日数を待たずに相談します。
- 水も飲まない
- 数日間にわたって嘔吐をくりかえす
- 糞に粘液や血が混じる、いつもより強くにおう
- おしっこに血が混じる
- お腹が膨れていて、触ると痛がる
- 熱がある、咳がひどい、鼻汁や涙を流す
- 周りの状況に無関心になった、暗がりに隠れて出てこない
- 毛にツヤがなく、ゴワゴワしている
迷ったら受診を先延ばしにしないでください。かかりつけの動物病院の電話番号を控えておくと、そのときすぐ動けます。
食べている量は足りている?必要カロリーと体型で確かめる
残していても必要な量を満たしていることがあります。まず必要量を出してから、足りているかを見てみましょう。
袋に書かれた量も計算した数値も、あくまで目安です。散歩などの運動量や体調を見て調節します。
1日に必要なカロリーを体重から出す
必要カロリーは体重(kg)の0.75乗に係数をかけて出します。係数は成犬期132、成長中期200、離乳期274です。
| 体重 | 1日に必要なカロリー (成犬) |
|---|---|
| 5kg | 441kcal |
| 10kg | 742kcal |
| 15kg | 1,006kcal |
| 20kg | 1,248kcal |
| 25kg | 1,476kcal |
| 30kg | 1,692kcal |
| 40kg | 2,100kcal |
- 安静時エネルギー要求量 (RER): 体重(kg)の0.75乗×70
- 1日のエネルギー要求量 (DER): RER×活動係数
- 1日のフード量: DER÷100gあたりのカロリー数×100
1回あたりの量は、1日のフード量を与える回数で割ります。
体重3kg・生後2か月の子犬に、代謝エネルギー400kcal/100gのフードを1日2回与える場合で計算してみます。RERは159.56kcal、活動係数3でDERは479kcalです。
1日にあげる量は120g、1回あたり60gです。
体重◯kgなら1日◯gという形で、自分の愛犬に当てはめて出せます。ただし同じ量を食べても太る子と太らない子がいるように、必要なカロリー量は個体によって違います。
体重計がなくても体型で見る(BCS)
理想の体型はBCS3で、余分な脂肪がついておらず、肋骨に触れる状態です。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれ、横から見て腹部の吊り上がりが見られます。
ボディコンディションスコアは5段階で、BCS1が痩せ、BCS2がやや痩せ、BCS3が理想的、BCS4がやや肥満、BCS5が肥満。毎日同じタイミングで手を当ててみてください。体重計がなくても、変化には気づけます。
肋骨や腰の骨が外からはっきり見え、触っても脂肪が分からない状態に近づいているときは、食事の工夫より先に動物病院へ相談してください。
食事管理でできる対処の順番
足す前に、まず待ちます。食べなくてもおやつなどで栄養をとらせようとせず、次の食事時間まで下げておくのもひとつの方法だと、環境省のガイドラインは挙げています。
成犬なら1日分を2回に分けて、決めた時間に出しましょう。ドライは少量ずつ出して新しいものに取り替え、缶詰やレトルト、手作りのものは器を出しておく時間を20分ほどにして下げます。
日頃から数種類のフードを回すか、同じ栄養組成の製品のなかで味が異なるものに変えてみましょう。主食にするなら、選ぶのは総合栄養食から。
水分量や口当たりが変わると、反応も変わることがあります。ドライとウエットを両方出して、どちらに口をつけるか見てください。
足すのは、いちばん最後。先に味の強いものを足すと、それを覚えて元のフードに戻りにくくなるためです。
1つずつ試して、数日から1週間は続けます。毎食ごとに手を変えると、味の強いものを覚えさせることになります。
食器と食事の場所も見てみてください。落ち着いて食べられるか、床が滑らないか、器の高さに無理がないかの3点です。
反応には個体差があり、同じやり方でどの子も食べるようになるとは限りません。



まとめて試したくなりますが、1つずつのほうが何が効いたのか後から分かります!
温める・ふやかすが効くことがある理由
食べる・食べないには、食材だけでなく水分の含有量や加熱、調理方法、口当たりが関係します。
| タイプ | 水分含量 |
|---|---|
| ドライ | 10%程度またはそれ以下 |
| ソフトドライ | 10〜30%程度 |
| セミモイスト | 25〜35%程度 |
| ウエット | 75%程度 |
ウエットは風味がよく食べやすいので、好む傾向があります。ぬるま湯でふやかす、人肌程度に温めるといった手は、この水分と香りの差を近づける工夫です。
熱くしすぎず、ふやかしたものは出しっぱなしにしないでください。
一方でドライには、カリカリしているため歯垢がつきにくく、口臭を抑えることが期待できるという面があります。ふやかしを続けるかどうかは獣医師に相談して決めます。
フードを変えるなら1週間かけて切り替える
新しいフードは、状態を見ながら1週間くらいかけて割合を徐々に増やします。食べなれていないフードに急に切り替えると、吐いてしまったり下痢をしたりすることがあります。
ある年齢になったからと、急にその年齢用へ移すのも勧められていません。
毎日の主食にするなら総合栄養食の表示があるものを選びます。一般食や副食は、総合栄養食との併用や別途の栄養補給が前提のフードです。
療法食への切り替えも同じで、少しずつ混ぜて1週間くらいかけて根気よく行います。どうしても食べないときは獣医師に相談してください。
トッピングやふりかけを足すときの注意
トッピングやふりかけも、おやつと同じ間食の枠で数えます。多くは総合栄養食ではないので、主食の置き換えにはしません。
人の食べ物をそのまま分けるのも避けてください。
- タマネギ (加熱しても成分は分解されない。長ネギ・ニラ・ニンニクも同様)
- ハンバーグやカレーなどの加工食品、味噌汁やすきやきの煮汁
- ブドウ・干しブドウ (腎不全の原因になる)
- キシリトール入りのガムなど (少量でも血糖値の低下や嘔吐、肝不全)
- 香辛料、鶏の骨
チョコレート、コーヒーや緑茶・紅茶、生卵、生の豆やナッツ類、ホウレン草、生の魚介類も注意が必要です。
おやつは食べるのにドッグフードを食べないとき



おやつを我慢させるのは心が痛みますが、ここは踏ん張りどころです!
おやつを食べるなら、食べられる状態にはあります。次に見るのは量の配分です。
ただし食べない状態が続くときや体重が落ちてきたときは、おやつの調整より先に動物病院へ相談してください。
おやつとトッピングは1日に必要なカロリーの20%以内
間食は、1日あたりに必要なカロリーの20%以内に抑えます。欲しがるままに与えていると栄養が偏り、カロリー過多から肥満につながります。
体重10kgの成犬なら1日の必要量は742kcalが目安なので、その20%は約148kcal。おやつは間食であって総合栄養食ではないため、おやつだけで1日に必要な栄養はまかなえません。
おやつを減らすときの進め方
急にゼロにはせず、量と回数を決めて20%の枠に収めるところから始めます。減らす順は、塩分や脂肪含有量が高い味の強いものからです。
背景に、家族の誰かが人の食事を分けていたり、味の強いおやつを与えていたりするケースもあります。誰が何をどれだけ与えたかを、家族のあいだで共有しておきましょう。
ドッグフードを食べないときにやってはいけないこと
食べないたびにフードを替えるのは、味の強いものを覚えさせる近道になります。
- 食べないたびに新しいフードやおやつを出す
- 慣れたフードから急に別のフードへ切り替える
- 人の食事をそのまま分ける
- 器に出しっぱなしにして、においが飛んだまま与える
- 水も飲まない状態のまま、家庭で様子を見続ける
- 自己判断で療法食を始めたり止めたりする
叱る、無理に口へ入れるといった対応も、食事そのものを嫌な体験にしてしまいます。そして食べない以外の変化があるのに家庭での工夫を続けることが、いちばん判断を遅らせます。
よくある質問
ドッグフードを食べない犬はわがままなのでしょうか?
決めつける前に、味の強いおやつや人の食事を覚えていないかを見てみてください。食べない以外の変化があるときは、性格の問題として扱わず動物病院へ相談しましょう。
塩分や脂肪の多いものを覚えると、さらに味の強いものを求めていきます。
ドッグフードはふやかさないと食べません。ずっとふやかしたままでも大丈夫ですか?
ふやかすのは水分を増やして食べやすくする工夫なので、それ自体は問題ありません。ただし続けるかどうかは、獣医師に相談して決めてください。
ドライには、歯垢がつきにくく口臭を抑えることが期待できる面もあります。
食べないときに別のフードを混ぜて与えてもいいですか?
同じ栄養組成で味の違うものに変えたり、犬用のトッピングを混ぜたりする方法は、環境省のガイドラインにも挙げられています。ただし毎食ごとに替えないことが前提です。
新しいフードは、1週間くらいかけて徐々に増やしていきます。
カリカリを食べないのは病気のサインですか?
粒の硬いものだけを避けるときは、口の痛みが隠れていることがあります。食べようとして粒を落とす、片側だけで噛む、口を気にするようすがあれば、動物病院で口の中を診てもらってください。
単に飽きているだけのこともあるので、ほかの変化とセットで見てください。
手作りごはんに変えれば食べてくれますか?
食べる・食べないには水分量や調理方法も関わるので、反応が変わることはあります。ただし毎日の主食として基準を満たしているのは総合栄養食で、手作りは栄養バランスを自分でとることになります。
続けたい場合は獣医師に相談してください。手作りフードを出しておく時間は20分ほどが目安です。
まとめ|家で見るか病院かを分ければ落ち着いて動ける
食べない原因は、家庭の食事管理で見直せるものと、動物病院で確認が必要なものに分かれます。分かれ目は2つ、口をつけようとするかどうかと、食べない以外の変化があるかどうかです。
1〜2日という日数は、安全を保証するものではありません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話で相談してください。
今日の量と回数を決めて、食べた量・水・便・体重を数日分だけ記録してみてください。記録があると、相談するときに伝えられることが増えます。
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」/愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/











